この日も彼は、沈む
「和仁、次何処行こっか?」
「貴方が行きたい所へ」
年上の遊び相手と、私はまた堕落した生活を送っていた。
自分の顔がいいのは自覚しているし、加えて所謂良いところの次男坊だから、言い寄ってくる女性は星の数ほどいた。その彼女らの誘いを断らなかったのは、通っていたのが男子校だった為である。
彼女もまた遊び相手の一人。背は私より少し低いくらいの、派手な服にメイクの高校生である。顔はそこそこ可愛い。(そもそも可愛くなかったら付き合わない)
「んー…じゃあ、遊びたいな?」
「……また、ですか」
「気持ちいいんだからいいでしょ」
そう言って彼女は私の手を引き人目の無い所まで連れてきた。そういうの目当てで私に声を掛けてくる女性も多かった。
「ね、和仁……」
「………こんな所でするんですか?」
私の腕に胸を押し付け、誘うように自らの手を絡める彼女に疑問をぶつける。人気の無いこの場所は、丁度草木が覆い茂っている為誰かが来てもみられる事は無いだろう。しかし外で、馬鹿なのかこの女。と思ってしまった私は、どこか少しずれているのか。
「スリルあって、気持ち良くなれるの……ダメ?」
半ば強引に彼女に押し倒される形になった私は、仕方なく折れた。
「…後悔はしないで下さいよ」
「後悔なんてしないわ…」
彼女を優しく押し倒し、彼女の肢体を丹念に犯していく自分に何故だか嫌気が差す。しかし、馬鹿馬鹿しいと思っていながら止められない自分がいてそれが酷く哀しかった。
彼女の甘い悲鳴を聞きながら私はまた沈んでいた、
深い愛欲の底に。
愛欲に沈む優男
(もう抜け出せない)
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和仁視点
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