そのとき確かに愛を感じた




「哉継……」

「…また哉ちゃんのこと考えてる?」

「あ、ごめん……」


閏からの告白を受けてから、早くも1ヶ月が経過し11月になっていた。哉継とはこの1ヶ月、一度も口を利いていない。
あの後閏に話を聞いてもらい、仲直りをしようとしたが避けられているようで、気付けばいつも教室に哉継の姿は無かった。
今は誘われて閏の家にいる。勿論兄貴達には言ってあって、そこに問題はないのだけれど。
だが、俺は哉継との仲を早く回復したい余り心ここにあらずという状態のまま閏の家に来てしまったので、閏の機嫌は急降下していた。


「ここ最近哉ちゃんの話ばっかり。いつになったら僕のこと考えてくれるのさ」

「ごめ…閏っ…」


明らかにイライラしている閏に俺はどうすることも出来なくて、嫌われたんだと考えてしまうと涙が出そうになった。
俯き唇を噛んで、黙り込んでしまった俺を心配そうに覗き込んだ閏の表情はいつもと変わらない優しい表情だった。


「耀泰?」

「じゅ、ん」


嗚呼、多分俺、閏のこと好きなんだ
ふとそう思って、泣きそうになりながら閏を見上げれば、閏は優しく笑った。やっと僕のこと考えてくれた、そう言って俺の額にキスを落とした。


「!」

「やっぱり可愛いね、耀泰は」


驚いて目を見開けば、閏の綺麗な顔がすぐ目の前で可笑しそうに微笑んだ。ずっと視線を絡めていると段々恥ずかしくなって、閏の言葉を聞いて俺の体は上気する。
俯こうと首を動かせば、それは閏の手によって阻止された。


「ね、キスしたい」

「っな、ならさっさとしろよバカ!」

「了解」


さっさとしろなんて、よく考えたらなんて恥ずかしい台詞を吐けたものだと後悔する。だが後悔をしている間もなく、閏の唇が俺の唇に深く重ねられた。



「んん…っ…」

「…っん」


俺と閏の体はこれでもかというくらいに密着した。お互いの熱で頭がくらくらする。やっと唇を離してもらった時、俺の体は完全に熱で浮かされていた。


「…は…っあ」

「…っ…好きだよ、耀泰…」

「あっ…ん…!」


耳元で囁かれ、くすぐったくて俺は思わず声を漏らした。そして閏の手がいつの間にか俺の服の中へ侵入していた。
少し冷たい閏の指が動く度に俺の体はビクビクと跳ねる。跳ねる度に、俺の体ははしたなく快感を求めていた。


「っあ…あっ…閏…」

「っ…耀泰、凄くエロい…」

「エロ、くなッ……ああっ…!」


突然、痺れるような緩い快感が体の中を駆け巡った。
この快感に夢中になった俺を余所に、閏は俺の体を優しく床に押し倒した。


「ココ、こんなにしてる…」

「言、うなっあ…っ…んん…!」

「可愛い…」


漏れる声がまるで自分の声じゃないみたいで、俺は困惑していた。涙で霞んでいく閏の顔を見ながら、俺はまた快感に飲まれていく。


「もっ…や…っあ…!」

「好きだよ…愛してるっ」

「っああ…あ…ッ……ん!」


行為は瞬く間に進んだ。閏は俺の体に負担をかけまいと、限界まで労ってくれている。そんな恋人の優しい一面に、普段の俺だったらとても嬉しいと思うのだろう。
しかし今は、この熱に浮かされているどうしようもない体に快感を与えて欲しくて仕方がなかった。


「い、から…あっ…早く…ッ!」

「……耀泰って誘うの巧すぎだよ。俺困るんだけど、ホント」

「ごめっ…あッんん……っ!!」


男とヤるのなんて初めてで、挿れられて感じるのなんて女だけだと思ってた俺に、この行為自体が物凄く衝撃的だった。
苦しい。しかし変になりそうなほど、狂ってしまいそうなほど気持ち良い。


「やっあ…んっ…ああ…ッ」

「ね、僕の名前呼んで…っ!」

「あっ…閏っ…じゅ、んッ……!」


得体の知れない感覚が俺を襲った。
背中は仰け反り、体はビクビクと痙攣する。俺の頭の中は何も考えられないくらいに真っ白になって、目の前がスパークした。
そのすぐ後、体に鈍い倦怠感を感じながら俺の意識はフェードアウトしていく。その時確かに残っていた意識の中で、閏が優しく囁いたのが聞こえた気がした。


「…絶対に離さないよ、耀泰…」


何も答えられないまま、俺の意識は暗闇の中に溶けていった。





さあ愛を感じようか

(それはとても心地よかった)

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耀泰視点





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