彼が可笑しな趣味に目覚めました
「お願いします」
「………」
「絶対似合いますから!」
「……」
お互いが部活をしているためなかなか二人の時間が取れなかった二人にとって、今日という日はとても貴重な休日である。
今日、夜美は和仁に誘われて彼の家で(一応)デートという名目で寛いでいた……筈だったのだが。
「…一つ聞いてもいいですか…?」
「はい」
「……この状況は一体…?」
今の状況はというと、夜美はフリルのたくさん付いたフワフワのメイド服を着せられ、無駄に格好良くキマっているスーツ姿の和仁の膝の上に跨がっている。
ご満悦の表情を浮かべている和仁に夜美は深い溜息を吐いた。
「私がご主人様で、夜美が可愛らしいメイドという設定ですが」
「……ならこの恥ずかしい状態は…」
「そうですねぇ…手の早いご主人が屋敷で一番可愛らしいメイドにちょっかいを掛けている図?」
「私に聞かないでください」
折角の二人揃っての休みなのに、この辱しめはないだろう。そう思った夜美はまた溜息を吐いて和仁の膝の上から降りようと、和仁の肩に手を置いた。
そもそもこの行為が間違いだったと夜美は後で後悔する。
「おや、やけに積極的ですね」
「は?」
「今日のあなたはいつも以上に愛らしい…」
端正な顔を近付けてきた和仁を、夜美は慌てて制止した。そんなつもりじゃなかった、と言うつもりで口を開いた夜美は途端に、太股に感じる冷たい手の感覚に犯されていった。
「っ!ば…っ、どこ触って……!」
「いけませんね、主人にそんな言葉遣いをしては」
「やっ…ッ何言ってるの和仁…?」
「ちゃんと、それ相応の言葉遣いはしてもらわないと困りますよ」
色っぽく微笑む和仁に夜美の心臓は跳ねた。顔を赤面させた夜美の反応に気を良くしたのか、太股を厭らしく撫でていた和仁の手は次第に奥へ奥へと進んでいく。スカートの中で何が起こっているのか分からないこの状況は、夜美を興奮させた。
溢れ出す情欲に戸惑う夜美は、思わず目を瞑る。押し殺そうとしている嬌声は、酷く淫靡に聴こえた。
「あっ、ん…ああ…っ」
「まだ太股にしか触れていないのにこんなに乱れるなんて、相当な淫乱メイドですねぇ」
「違っ…!和仁のばかぁ…ッ」
「メイドさん、言葉遣いがなってませんよ。主人の名前を気安く呼ぶなんて…痛いお仕置きが必要ですかね…?」
「あっ…う…やだ…ッ…」
「なら、私のことはご主人様と呼びなさい。さあ、呼んで。私の可愛い夜美…」
夜美の耳元で催眠術を掛けるように、和仁は低く柔らかい声で囁いた。
「は、っあ…う」
「夜美、呼んでください」
「ひ…ッんあ…あっ…ご、しゅじ…さま…」
耳元で和仁に囁かれるだけで、敏感な夜美の体は反応した。既に思考を奪われた夜美の大きな瞳から零れた涙は、着ていた服を淫らに濡らす。
ぼそぼそと和仁に言われた通りの言葉を顔を真っ赤にしながら言うが、Sな和仁をただ煽るだけだった。
「聞こえませんね、もっとはっきりお願いします」
「ん…ッ、っご主人さまぁ…っ!」
「ふふ、よく出来ました」
「ひっあ…!んあっあ…ッ!」
スカートの中をまさぐっていていた和仁の手は激しさを増し、夜美の首筋にたくさんの花を咲かせていった。
しかしなかなか肝心な所に触れてくれない和仁に夜美は痺れを切らし、そして普段なら言わないような言葉を口走る。息を荒げ、だらしなく開いた口から覗く真っ赤な舌がいやらしく滑っているのが、また酷く淫靡だった。
「ご主人、さま…っ」
「なんですか」
「私の敏感なトコっ…ちゃんと触ってくださ…っ早くぅ…ごしゅじ…さま…ッ」
「…っ、本当に、自覚が無いのが怖いですね。私も、理性が保てなくなる…」
「ごしゅじん、さま…あッ」
メイドを愛しそうに抱き抱えたご主人様は、顔を真っ赤にしたメイドを力強くベッドに押し倒す。
ご主人様は少し悲鳴を上げたメイドの口を塞ぎ、そしてまた行為を進めていくのだった。
Mなメイドと
Sなご主人様
(Mっ気のあるメイドが好きすぎるご主人様と、変態なご主人様が好きすぎるメイドの話)
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藤波 和仁×暁 夜美
変態甘裏。
深夜に書き始めた小説なので恐ろしいことになりました。一応ね、ここのサイトは15禁なのであまり露骨な表現は避けました。
しかし隠しきれない変態さはもうどうしようもありませんすみません←
コスプレイに着衣プレイです。やっちまった。
久々に書いたので文章がだらだらと長くなってしまいました。
今度書くときは簡潔な文章で簡潔なお話にしたいです。
ご一読ありがとうございました。これからも和仁と夜美のラブラブっぷりを見守ってやってください。