離れて愛が褪めると言うなら、


「ね、兄さん」

「なんだ」

「シよ?」

「…」


そんな短い会話があって、今に至る。
ギシギシとベッドのスプリングが悲鳴をあげていた。その上で非生産的行為を愉しんでいる二人を、薄暗い部屋に射し込む月の光が彼らを妖艶に照らしている。


「はっ…んあ…っ」

「っ耀泰……!」

「好きっ…好きぃ…っ」

「ああ……」


月光は弟の白い肌に惜し気もなく降り注ぎ、厭らしく揺れる四肢や柔らかい金髪をより一層淫猥に演出している。
バランスの取れた弟の身体を丁寧に犯していく兄はそれを見、余裕無さげに、下で淫らに喘ぐ弟に乱暴に口付けた。


「んうっ…」

「っん」

「ふぁ……っは…ん」


蕩けるような口付けに、弟の思考は直ちにストップする。
二人の間に名残惜しそうに銀色の糸が引いた。それが切れるのを待たずに、弟はもう一度愛しい兄に噛み付くような口付けをせがんだ。


「んんっんう…はっ、兄さ…んぁ…ッ」

「…耀、っ」

「ん…もっとぉ…っ…」


身体を何度も重ねる内に、弟はいつの間にか淫乱になっていた。それには元来敏感な体質であったのも関係しているのだろうが。
兄はそんな自分が開発した弟を鬱陶しく思う筈もなく、今まで以上に愛しく思っていた。
弟はそんな自分を愛してくれる兄を嫌悪する筈もなく、今まで以上にその愛に応えていた。

二人の呼吸が荒くなるにつれて、弟の嬌音は大きくなり部屋に木霊した。


「ひぁっ…んぁあ…っ!」

「耀、泰…っ愛してる…愛してる…!」

「んっ…俺も…ッ兄さ……っんああ…っあ!」


体力を使うこの行為のせいで、二人の身体には玉のような汗が吹き出していて酷く艶っぽい。
弟は終わりの見えない快楽にボロボロと歓喜の涙を流している。その瞳は愛欲に染まり、快感にほだされて虚ろに兄を映した。艶かしい音を囀ずる唇は濡れ、月明かりでぬらぬらと光っている。
その全てが兄の本能を擽って、行為に一層歯止めが効かなくなった。


「や、や…あ…っもうイっちゃ…!」

「俺もだ…っ」

「一緒に、イきた、ひぁあ…あん…っ」

「ああ…一緒に…!」


切なげに喘ぐ弟を抱き締め、兄はその行為にスパートをかけた。
兄はギシギシと煩いくらいに軋むベッドなんかはお構い無しで、無我夢中で弟を犯す。弟は段々と激しくなるソレに着いていけず、口の端からはだらしなく涎が垂れていた。


「あ、あっんぁああ……ッ!」

「…っく…!」


一際甲高い嬌音を合図に欲を吐き出した二人は、まだ行為の余韻を残しながらもゆっくりとベッドに倒れ込んだ。
暫く、二人の荒い息遣いが静寂をかき混ぜていた。


「はぁ…っはぁ……」

「耀泰…すまない、辛かったか?」

「…ううん…気持ちよかったし…俺は満足…兄さんは?」

「…ああ、俺ももう、充分愉しんだ」

「よかった」


照れ臭そうに笑う弟に幸せを噛み締めた兄。こんな幸せが長く続けば良いのに、そう心の中で呟いたが、口には出さなかった。
弟はそんな兄を知ってか知らずか、また彼らしいことを豪語した。


「幸せ!」

「…耀泰……」

「ずっと一緒にいよう兄さんっ」

「……ああ」


ベッドの中でそんな会話をしながら、二人は仲良く眠りに就いた。



愛に逝く
(ならばこの愛が褪めることのないように、君が離れていても必ず会いに行く)

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那優 紅廉×那優 耀泰
激甘裏。
ただあはんうふんしてるだけです。しかも紅耀は裏しか書いてないぞ。深夜のテンションて怖いですね←





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