きっと忘れない




「兄さん、起きて」

「ん……」


朝、目が覚めれば目の前には愛しい異母弟の姿が視界に入る。金髪の柔らかい髪を優しく撫でれば、嬉しそうに目を瞑る。耀泰はおはよう、と囁いた。


「…おはよう、耀泰…」

「うん」


また嬉しそうに微笑めば、誰から貰ったのか愛らしいフリルのエプロンを付けた耀泰が立ち上がろうとした。俺はその腕を反射的に掴む。
……フリル?


「どうしたの兄さん?」

「………なんでそんなの着てるんだ耀泰?」

「え?…これ、やっぱり変かな……」

「いや、変じゃないが…」


目の前の耀泰の姿は可愛らしい(明らかに女物だ)フリルのエプロンを付け、ホットパンツを履いているのか綺麗な足を惜しみなくさらけ出している。上も肩が出た色気のあるシャツを身に着けていて、俺は思わず生唾を飲む。
そんなこととは露知らず、似合わないと思ったのか泣きそうな顔をして俯く耀泰に俺は寝起きの重い体を持ち上げた。


「耀泰、似合ってる」

「兄さん、やっぱり似合わないでしょ?無理しないでよ」


そう言えば拗ねたように俺のベッドに腰掛ける。溜息を吐けば俺は無意識の内に耀泰を抱きしめた。


「兄さ…」

「似合ってる、でもあまり着て欲しくはないな」

「…やっぱり似合わないンじゃん」


何だよ兄さんのバカ、そう言って耀泰は少し悲しそうにぷいっとそっぽを向いた。俺はそんな耀泰が何だか可愛くて思わず笑みが零れる。ほのかに香るシャンプーの匂いに誘われて俺は耀泰の首筋に顔を埋めた。


「っ…ん…兄さ、」

「思わずこうしたくなる」

「へ…?」


俺は思うがままに耀泰の足に手を伸ばした。服の中に手を忍ばせれば耀泰は顔を林檎のように真っ赤に染め、扇情的な声を漏らす。


「あっん…んっ…兄さ…!」

「耀泰…綺麗だ」


懸命に自分の手を俺の手に重ねて弱々しく抵抗するが、それは俺を煽るだけのただの材料に過ぎなかった。耀泰の喘ぎ声を聞くだけで俺の理性は段々と崩れていく。行為は瞬く間に進んだ。


「んんっあ…やっ…兄さァ…っ!」

「…なんだ?」

「も、ちゃんと触っ…てっ…」

「!」


涙を溜めながら俺を見上げる耀泰は酷く魅惑的で、俺の確かに残っていた理性を崩壊させた。今までの耀泰は自分から求めるなんてことは無かった為俺は珍しく素直な耀泰にささやかな悦びを感じた。ただ、そんな耀泰を辱めたいという更なる欲望が俺を支配し始める。


「ああっ…兄さ、違うっ…焦らさな、で…んあ…っ!」

「焦らしてないさ、どこを触って欲しいんだ…?」

「ぁ…んんっ…や…ッ兄さ…も、嫌い…!」


目を固く瞑り、目尻に涙を滲ませて誘うように声を漏らす耀泰に俺はまた生唾を飲み込む。


「あっぁ……んっやあ…ッや…も、イきたっ…」

「何処をどうして欲しいんだ、言ってみろ」

「む、りっぁんッ…恥ずかし…兄さっあぁん…っ!」

「ならずっとこのままだな…」

「うぁッ…ふ、に…さぁっ」


俺を焦れったそうに呼ぶ耀泰はいつも以上に理性が崩れているようだった。少し苛め過ぎたか…、そう思い先に進もうと耀泰に手を伸ばしたとき、耀泰は顔を真っ赤にしながらふらふらと立ち上がり俺を押し倒した。


「耀泰…?」

「に、さん…っ…あっ俺の…触って、ぐちゃぐちゃに犯してぇ…ッ!」

「…っ!」


余程辛かったのか、普段の強気な耀泰からは考えられない卑猥なことを口走る。瞳には涙を溜め、頬を赤く染めて辛そうに眉をひそめている。唇はいやらしく濡れ、そこからは荒い息と甘い悲鳴が漏れていた。
俺は耀泰のそんな媚態を見て堪らなくなり耀泰を荒々しく押し倒す。


「きてっに、さ…っんあ!」

「っ耀泰…」


歓喜に震える耀泰を俺は本能のままに抱いた。涙を流しながら悦ぶ耀泰に口づければ、それはいつしか情熱的なものに変わっていく。俺を懸命に受け止める耀泰に愛しさが募る。


「は、っ兄さ…ふぁっあっ、っんん…ッ!」

「いいか耀泰…っ?」

「ふ、あぁんっいい…ッきもち、いっよぉッ…!」


その行為は熔けてしまいそうな程心地好かった。




「……こいつら、俺がいること完全に忘れてるだろ」


部屋の前でたまたま泊まりにきていた俺の双子の兄蒼廉が、悩ましげに頭を抱えていたことを俺たちは知らなかった。



泡になる人魚
(灼けるような愛で融かして)

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紅廉×耀泰
激甘裏。こういうイチャイチャ萌←





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