その発言が、後の大事件に繋がるなんて思いもしなかっただろう。多分その場にいた全員、全く予知さえしていなかった出来事だっただろう。
まさか"彼"が○○○だとは誰も思いもしなかったのだから


「皆おはよ〜授業始めるから教科書とか出して〜」


今回は私、藤波和仁が語らせていただきます。
今日は雲一つない快晴、そんな朝っぱらから可愛い(年齢不詳)と人気のある常盤先生の授業でした。
今日も御機嫌に授業を進めていた常盤先生だったのですが、ある男子生徒の一言によりその平和は崩されてしまうのでした。


「ここ、テスト出すから押さえといてねー!」

「あ、そーいやモデルの真宮ってヲタクらしいよ?」

「えーあんなに美形なのに?」

「ヲタクとか考えられないよね〜マジキモいっつーか?」


私達は、まぁ日常的な会話だったので聞き流していましたが先生は違いました。
一瞬空気が凍り付いたかと思うと、いきなり教卓を叩きその会話をしていた男子達を睨み付けたのです。
いつもなら、そこーお喋りしちゃダメだよ〜?
と可愛く注意をするのに、今日のコレはどうしたものでしょうか。何が起こったのか理解出来ていない私達は、呆然と先生を見つめました。


「………アニメとか漫画(ゲームも含む)って言うのはね、今や日本の立派な文化なんだよ?ていうかアニメ=ヲタクっていう考え方何とかしないマジ聞いてて腹立つんだけど!何ですかアニメ好きで何が悪いんですか僕大好きですけど何か!?
ヲタク=気持ち悪いっていうのは君らみたいな一般人ぶった奴らが勝手に騒いでるだけなんだよヲタクの皆は君らに迷惑掛けてないっしょてか好きな事好きな風にやってるじゃん周りの目とか気にしないじゃん自分の道ちゃんと歩いてんじゃんある意味凄くね?まぁとにかくヲタク舐めんな、次僕の前でふざけた事言ったらぶっ殺すからそこんとこヨロシク」

「「すいませんごめんなさい」」


………嗚呼そうか、常盤先生ヲタクだったんですね。
というかどこで息継ぎしているのかと思うくらいのマシンガントーク御馳走様でした。
そして授業が終わりを迎えた頃……


「………そうだ、最後に一つ言い忘れてた事言うね〜」

「「?」」


超御機嫌な常盤先生が、言い忘れたと言って黒板にチョークで何か書き始めました。一応目立つ黄色で書かれていたのでテストに出るのだと思い、私達生徒は慌てて筆記具を構えました。
そこには、二次元は紙じゃない、神なんだよコノヤロー!


…………うん。
走り書きで書かれたその文字を私達は凝視しました、勿論筆記具は止まったまま。というか寧ろ時間が止まりました。
そして先生が恐ろしく御機嫌な笑顔でこう言ったのです。


「今気が変わったから言っとくねー。次のテスト、アニメから問題引っ張ってくるから皆頑張って!」

「「はぁああ!?」」

「横暴だろ!」


などの声が挙がる中(この人の勇姿を私は讃えたい)、また先生が口を開いた。


「………は?何か文句あんの?」

「いえいえ無いですホントだから教卓投げようとするの止めて下さい」

「宜しい、じゃ!」


爽やかな笑顔で教室を出ていく先生に、私達は安堵と疲労の混じった溜息を漏らしていました。が、


「ごめんもう一言!!」

「「ヒィイイイ!」」

「………何その反応、ボコされたいの?」

「「されたくないですすいません」」


さながらコントのようなやりとりですが、私達はその程度の事で笑える程の余裕なんてありませんでした。


「じゃあ言うねー…………」


この学園って本当、個性的な人が多いよなぁと改めて理解した一日でした。




ヲタク舐めんな

(次のテストが本当にアニメから引っ張ってきた問題だった事を、この時はまだ誰も知らなかった)

──────────

常盤 大貴。





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