一応、僕は勝ち組です


「先輩、好きです」

「うん?」

「俺と付き合って下さい!」

「…えーと……」


彼にはいつも昼飯を奢ってもらったりだの、ちょっとカロリーメイトが食べたくなったからコンビニに走らせたりだのした仲で。
あ、所謂僕の側から見れば可愛いパシリの後輩なんだけど。ちなみに強制じゃない。僕の見立てだと彼は多分Mだ、マゾだ。お願いというよりはもう既に命令のようになった僕の要求に、いつも嬉しそうに対応するから。
昔は


「いきなりごめんね、○○(学食か近くのコンビニで買える物)買ってきてもらえないかな」

「喜んで!」


だった。今は


「ちょっと○○(明らかにコンビニじゃ買えない高い食べ物)買ってきて」

「了解です!」


だ。用件だけを言おうが彼の返事はいつも対して変わらない。しかも昼休み中にそれを用意してしまうから金持ちは特だと思う。

今日もちょっと本物のメロンが食べたくなったから彼に買いに行かせて、いつもそれを受け取る屋上で待っていた。
ら、何故かどういう訳か。


「先輩好きです!」

「…うん?」

「付き合って下さい!」

「…えーと……」


な状況になってる自分。どうしよう、僕は愛する君と言う存在がいるのになんて罪な男なんだ!少し現実逃避してみたが本音が浮き彫りなのでよそう。そう、何を隠そう僕は勝ち組ですからねふふふ。


「先輩?」

「あ、ごめん。嬉しいけど僕は君とは付き合えないよ」


本当にごめんね、と言えば彼は俯いてしまった。そうだよね、辛いよね。僕も愛しい君と恋人になる為に嫌いだなんだと言われて死のうかと思ったことがあるもの!
また頭がトリップしてしまった僕を余所に、彼は何かを決意したような顔で僕に言う。


「…だと思いました」

「……うん?」

「だからこれからも先輩のパシリやらせてもらっていいですか!」

「…えーと……」


なんだろう、取り敢えず彼強すぎ。




「…ていうことがあったんだよね。あ、彼は今でも僕のパシリ君やってくれてるけど」

「…俺はどういう反応をしたらいいんだよそれ」


取り敢えず、君に報告しなきゃと思ってさ。僕ってば恋人想いだよね、君も惚れ直しちゃうくらいに格好良いから。こんな恋人持てて君も幸せじゃない。君は僕のこの溢れんばかりの愛で幸せすぎて窒息するほどの幸福者だ。ああ僕ってなんて美しい表現で君への愛を表したんだろう!やっぱり僕の君への愛は不可能を可能にするんだね!素晴らしいよ!愛してるよホント!


「うん、取り敢えずお前が窒息しようか」

「ツレないこと言わないで」




告白されました

(…いろんな意味で)



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