君が素直過ぎた日の出来事


「おい」

「うん?」

「今日何の日か分かるか?」

「今日?」


放課後、いつも二人で会う屋上で沈みかけた夕日を見つめながら君は僕に問い掛けた。
聞き返すと、君は驚きそして悲しそうな顔をする。


「…覚えてないのか?」

「……君は」

「ホントに覚えてないのかよ…?」


泣きそうな君の顔を見て、ああ、僕は愛されているのだと実感する。
君の顔を見つめるだけの僕に痺れを切らした君は、僕からパッと目を逸らし真っ赤な夕日を眺めていた。


「バカみてぇ」

「何?」

「いつも俺にばっか期待させてよ、お前はそれをいつも裏切るんだ」

「…裏切ってないよ」


そろそろ可哀想だと思い口を開けば、君は涙を溜めた瞳で悔しげに僕を睨み付けた。


「嘘吐くなよ!だって今日のこと覚えてないんだろ!?だったら…」

「覚えてるさ、今日が何の日かくらい」

「は…っ?」

「君って本当に可愛い」


やっと意味を理解したらしい君は顔を真っ赤にしてまた僕を睨み付けた。
そんな動作が何だか可愛くて君の頬にキスをすれば馬鹿、と言ってふてくされる。
ああもう、本当に可愛い。


「っじゃあ何の日か言ってみろよ!答えられなかったら承知しないからな!?」

「はいはい」


ちょっと意地悪しようと思って抱き締めて、耳元で囁いてやった。




僕と君が初めて逢った日

(あの日の君は今でも覚えてる)



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