君をもっと知りたいから


「俺の家族?」

「うん、たまに妹さんの話してくれるじゃない。ちょっと気になって」

「親父と妹の三人家族だよ」

「なんか平和そうだねぇ」


前から少し気になっていたことを聞くと君は素直に答えてくれた。家族の話をするときの君はいつだって嬉しそうで、僕も安心する。


「それがさ、妹が昨日突然彼氏(仮)を連れてきたんだよ」

「は?」

「しかもかなり頭弱そうなチャラ男だった…!」

「うん、話が飛びすぎてついていけないけど」

「俺への挨拶も、おにーさんちゃーっす、だぜ!?ハァ?舐めてんのかアア!?テメェみたいなヤツにお兄さんと呼ばれる筋合いはねーんだよ張り倒すぞとか!?終いには俺の目の前でイチャイチャし出すしああもうこいつしばき倒すとか思った訳だよわかるか!?」

「…うーん……?」


アレ、なんなのこの展開。え、君ってシスコンだったの?僕への愛(※ツッコミと読みます)だってそんなに長い台詞話したことないよね!?僕への愛より妹への愛がデカイってこと!?
何それ許せない!取り敢えず今から抱いていい!?


「なぜそうなる」

「だって君があまりにも僕以外の話題で興奮して話し出すから、僕への愛が薄れてしまったことを危惧して愛を確かめ合おうとしたんだよ」

「おい、どさくさに紛れて俺の服脱がそうとすんな」

「僕我慢できないから今から一発シようか」

「人の話聞け万年発情期が」

「ああ…っ、君に踏まれると余計興奮する…!」

「変な声出すなバカヤロー」


全く、そうやって僕をまた踏みつける君って女王様みたいで素敵だよ。ああ、君に女装させたら似合うだろうなぁ…萌えるねふふふ。


「もうやだ、何お前、死ね」

「そんなこと言われて踏まれてたら本当にイきそうなんだけど」

「この変態がッ!」

「ああもっと罵ってもいいんだよ、君に言われたら僕はマゾにもなれるし」


「お前らさっさと席につけ。イチャイチャしてんじゃねぇよ校内ダントツ一位のバカップルが」


実は授業が始まっていたらしく渋々僕らのSMごっこ(仮)はあえなく終了した。
このあと先生に授業中延々と指名された僕らは、その後クラス中の人間に感謝されることになる。


「おいバカップル攻め、問一の答え」

「浮R」

「じゃあ受け、問5の答え」

「何なんすかその呼び方!受けって!何なの俺らって教師まで公認なの!?」

「ハァ?くだらねぇこと聞くな受け専。さっさと答えろ淫乱」

「なんで!?ちょっと待て!なんで教師にそんなこと言われんの俺生徒だよな!?最後の言葉なに!?」


二人が睨み合いを始めてしまった。しかし今日の先生は機嫌が悪いな、保健医の彼と上手くいってないのかな?
さすがに君が可哀想だし、そろそろ授業も終わるし、僕が助けてあげよう。
ああ、勇ましい僕も素敵。


「先生、保健医の彼とは上手くいってないようですね」

「…………………………なんでテメェが知ってんだよ」

「彼とは仲良くさせてもらってますからね。彼、あなたのすぐ怒る所が嫌いだと言ってましたよー」

「……………」

「喧嘩だかなんだか知りませんけど、生徒に当たるのはよくないと思いまーす」


キーンコーンカーンコーン


タイミングよく授業が終わった。時間に合わせて格好良いこと言った僕素晴らしいよ。誉め称えてあげたいよ。
とか思っていたら、先生はぶっきらぼうに授業終了の挨拶をしてバタバタと走って行った。
向かった先は多分保健室だろう。そもそもなぜ彼があの教師と付き合っているのかがわからないが、他人の恋路に興味はない。
今は、


「ありがとな」

「うん、助け船を出すのは上手いからね。華麗に船を出したでしょ」

「ああ、あの先生にも助け船出してたしな。お前スゲェよ」

「ありがと」


君だけを考えて、考えすぎて可笑しくなりそう。

でもたまにはこんな、普通の会話があってもいいんじゃないだろうか。



家族について

(脱線なんて当たり前田のクラッカー)


「ネタが古いね」

「管理人は語彙少ないねんて言うてた」

「語彙少なくて出てきたのアレって相当キテるよな」


↑上の三名はクラスのお友だち。誰もつっこまないところをツッコミしてくれる大切な子達。



prev turn next


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -