※ちょいブラック使用。でも、ランクルスが出てくるよ。



「まずい、実にまずい。」

だんだん雪も降らなくなり、気温も暖かくなってきた。だがしかし、その暖かさに反してトウコは冷や汗を浮かべ焦っていた。

「まずい、まずいぃぃぃぃ。バレンタイン、Nに渡してないぃぃぃぃ。」

自室の中で散々転がり、ランクルスのぶにぶにに頭を突っ込んで叫ぶトウコ。ランクルスは驚きつつもくすぐったそうにしていた。その様子に堪らなくなったトウコはランクルスに頬擦りをした。

「あんたはあたしと違って可愛いねランクルス。食べちゃいたいわランクルス。」
「僕はトウコが食べたいよ。」
「ランクルス!?」

驚いてランクルスを頬から引き離すと部屋の入り口にNが立っていた。

「え、N。今日はどうした、の?」

バレンタインを渡していないから少し気まずい。

「今日は女の子に贈り物する日でしょ。ホワイトデーだっけ?肌が雪みたいなトウコにぴったりの日だから、今日はプレゼントを持ってきたよ。」

いつに増して早口だ。しかも、Nにしては珍しく恥ずかしそう。珍しい様子のNが見れたのは嬉しいけど、一応訂正しとく事にした。

「あのね、ホワイトデーってのはバレンタインデーにチョコを貰った人がお返しする為の日なの。あたし、バレンタインデーに……」
「知ってるよ。」
(知ってるんかい!?)

抱き上げているランクルスに軽くチョップした。ランクルスはまた驚きつつもくすぐry

「バレンタインデーに渡せなかったのは会いに来れなかったからでしょ?」
「え……。」


「ハンサムさんに呼び出されたからでしょ。プラズマ団の件で。」

バレンタイン前日にハンサムさんに呼び出された。ゲーチスらしき人物の目撃証言があったとの話だった。そして、それと同時にまたプラズマ団が動き出すかもしれないという話を聞いた。

「居ても立ってもいられなかった、僕を守る為に。違う?」
「……だって、またNがいなくなったら嫌だったから。」


話を聞いて、トウコはアデクの元へ行きNの城の跡に行かせてもらう事にした。プラズマ団の動向が何か掴めるような気がしたからだった。

「でも、何も解らなかったの。貴方の理想の城が、崩れた姿のままだった。」

その事を伝えるか迷っていたが、隠したって何にもならないから伝える事にした。

「N、あたしを置いていったりしない?」

城は崩れてしまっていた。プラズマ団の動向やゲーチスの事は何も掴めなかった。しかし、何よりも気になるのはNの気持ちだった。


「トウコ、ランクルスをボールに入れてくれないかな。」

Nは何か躊躇っているようだった。その様子に耐えられなくなったトウコはランクルスをボールに戻した瞬間、Nに抱きついた。あまりの勢いでNはふらついたが後ろにベッドがあったから助かった。

「ト、トウコ!?」
「何処にも行かないで!もう、あたしを置いて行かないで!」

Nを追い求める日々が頭に蘇り、涙が溢れて来た。しかし、Nを抱き締める強さは変わらなかった。

「トウコ。」

Nがトウコの顔が見えるように、そっとトウコを引き剥がした。

「僕はねトウコが教えてくれた真実が有るから、大丈夫だよ。」
「え、ぬ……。」
「僕はトウコに守られるのは嬉しいよ。でもね、僕はやっぱりトウコを……君を守りたい。」

Nが優しく頭を撫で、涙を指で拭った。

「トウコ、目を瞑って。」
「?」

急な要求だったが、今は目を瞑る事にした。

指に何か冷たい感触がした。


「目を開けて。」
「うん。………あっ!?」

右手の薬指に指輪がはめられていた。

「い、今の状態で結婚は無理かもしれないから右手の薬指にしたんだ。でも、僕はトウコの事を真剣に愛してる。だから……だから、全てが終わったら僕と、」

Nが言葉を言いかけた時、トウコの人差し指がNの唇に当てられた。

「今、それ言っちゃ駄目。あたし嬉しくて死んじゃうかもしれないから、全てが終わったら言って。」

泣きながらふにゃっと笑うトウコに堪らなくなったNは、

「はむっ。」
「〜〜〜〜!?!?!?」

トウコの指をくわえた。

「な、なっ、N、指離して!?」
「ひゃは、ひょうひょひゃひゃはひひへひはひ。(訳:やだ、トウコが可愛いせいだし。)」

甘えてきてる……やばい、可愛い!でも、ここで負けちゃ駄目!!とトウコは自身に言い聞かせながら指を引っ張った。

「指を離しなさいっ!」
「ひゃはっ!!(訳:やだっ!!)」
「いい加減に……」
「ちゅる、っちゅ、ちゅっ……っぱ。」
「んっ!」

Nは確かに指を離した。しかし、離し方に下心が込められており、トウコの体は火照っていった。。

「な、な、何するのよ!?ナチュラル・ハレンチ・エロピウス!?」
「トウコ、顔が真っ赤だよ。あと、人の名前を勝手に変な呼び方にしないで。」
「う、うるさいっ!」


こうしてじゃれ合って(?)いた二人は疲れて次の日まで眠ってしまったらしい。(トウコさんの関係者Tヤさんの証言より)

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おまけもありますよ(´・ω・)♪


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