HRを終えてアルバムに寄せ書きをしていたら、クラスメートから呼ばれた。

「トウコ、N君が廊下で呼んでるよ。」

どくん


卒業式中、見えなかったNは何時も通りのNだった。いつも通りのあたしの好きなN。

「な、何よ。N、何か用?」
「トウコ、後で東階段に来てよ。東階段なら人も来ないだろうし。」

どくんどくん

「今はクラスで色々あるだろうし、夜もクラス会あるでしょ?」
「ま、まあね。」

どくんどくんどくん


「あのね、」





「トウヤと話して決めたんだけど、チェレンとベルも呼んで写真撮ろうよ。」

「え?」

「また後日集まれるだろうけどさ、卒業の記念写真は今日しか撮れないからね。だから、集まろうよ!」
「あ、うん。分かった。」
「それじゃ、クラスの事が一段落したらトウヤと行くから!」

手を降りながらNは自分のクラスに入っていった。


クラスに帰ったら、クラスメート達が集まっていた。

「トウコ、クラスの写真撮るよ!」
「チェレン、セルフタイマー設定して!」
「はいはい。トウコ、早く入ってよ。」
「トウコは私の隣ね!」

はい、ちーず



「じゃ、また夕方に会おうね。」
「あたし、部活の後輩に会ってくるから待っててね。」
「俺等、ゲーセン行こうぜ。」
「昼ごはん何処で食べる?」

クラスで様々な話が飛び交う中、あたし達3人はクラスを出た。



東階段に向かうとトウヤだけがしゃがんで居た。

「どうし……」
「しーっ。」

指を口に当てたトウヤは階段の下を指差した。

「あ、あたし、クラスは違ったけど、N君の事がずっと……」
「悪いけど待たせてる人が居るから、行かせてくれないかな?」

Nがそう告げると女子生徒は走り去ってしまった。その様子を見てNは不機嫌そうに階段を上ってきた。

「告られまくりですなあ、N君。」
「うるさい、トウヤ。知らない女子から告白されても全然嬉しくない。」

(告られまくったんだ。)

「せめて、返事だけしなよ〜。」
「ベルも余計な事言わないの。僕は何も感情を抱かない人には、返事なんてしない。」

(じゃあ、あたしには何かしら感情を抱いてくれてたんだ。)

「トウコ、どうしたの?」
「あ、いや、何でもない。」
「元気が無さそうに見えたけど。」
「そんな事な……」
「ハイハイ、いちゃつくのも良いけど全員揃ったから写真撮ろうよ。」

トウヤがあたしの頭に手刀をしてきた。

「痛っ!いちゃついてなんか無い!!」
「いちゃついて無いよ?」
「はいはい、ほらさっさと並べー。」

ベルとチェレンが後ろで私とトウヤとNが前に映る事にした。

「身長順で良くない?」
「主役とライバルは前に行っても良いでしょ!」
「はい?」

トウヤがよく解らない事を言いながら、階段の手すりに上手くカメラを乗せてセルフタイマーを押した。

「20秒後だから……って俺真ん中嫌なんだけど!」
「うわっ、と。」
「えっ。」

トウヤがNを真ん中に押したから、あたしに思いきりぶつかった。

「ごめ……」
「あ、カメラ点滅してるから、そろそろ撮、」

カシャッ



写真を数枚撮った頃にトウヤが立ち上がった。

「まぁ、こんなもんかな。現像したら皆に渡すから。トウコも手伝ってね。」
「ちょっと、勝手に……。」
「双子の初めての共同作業です。」
「初めてじゃないし!」

チェレン、ベル、Nが笑った。つられてあたし達双子も笑った。

「トウヤ、そろそろ行かなきゃ。」
「トウコ、俺等のクラスはカラオケと焼肉だから、母さんに昼と夜飯要らないって伝えといて。」
「なっ、また勝手に!?」

軽く別れの挨拶をして二人は走り出した。


「あたし達も行こうか。」
「晩御飯まで時間あるから、3人だけでも写真撮る?」
「私、プリクラが良いな〜。」

他愛もない話をしながら、昇降口に向かいながら鞄を見たら携帯が入ってなかった。

「携帯が忘れたから、教室に取り行ってくるから、二人は先に昇降口行ってて!チェレンはベルに変な事しちゃ駄目だからね!」

「は〜い。……チェレン、変なことって何?」
「な、な、な、何でも無いよ!?」


階段を一段抜かして教室まで走った。三年生の廊下は誰も居ないみたいで、しんと静まりかえっていた。教室に入っても静かなのは一緒だった。

「携帯、携帯っと。あ、あったあった。」

クラスの娘と撮った時に窓辺に置いて、忘れてしまっていた。

「さて、帰るか……。」

教室を見渡して一礼して小さな声で

「ありがとう。」

と呟いた。

用件もすんだし教室を出ようとしたら


「〜♪」



綺麗な声と聞いた事の無い歌が隣のクラスから聞こえた。

隣のクラスを除くと窓の外を見ながら歌っている


「N?」

が居た。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -