「トウコ、どうしたんだい?お腹痛いの?」
「…………。」
トウコが布団に潜ったまま出てこない。頭まですっぽり入ってるからトウコの顔が全く見えない。
「もう寝むいの?寝るならお風呂入らなきゃ駄目だよ?」
「…………。」
返事をしてくれない。どうしたんだろう?あまりにも喋らないから触るのも躊躇われる。
「…………すんっ。」
「トウコ?(鼻をすする音?)」
ポケモン達に聞いてみた方が良いかな?とトウコのベッドから離れて部屋を出ようとすると、
「…………………N。」
触ったら溶けて消えてしまう雪のような声だった。でも、明らかに泣いてるのがわかった。
「なんだい、トウコ?」
「………………。」
部屋から出ていくのをやめてベッドに座った。また返事をしてくれないけど、離れて欲しくないみたいだから側に居る事にした。
「…………すんっ。」
また鼻をすすってる。ティッシュ要るかな?とか考えてたら布団からトウコのフワフワのポニーテールの先っぽが出てきた。本人は気づいてないみたい。
「トウコ。僕は此処に居るから、大丈夫だよ。」
「!?」
トウコの髪の毛を指に巻き付けながら話しかけると、びっくりしたのかトウコの体がビクンと揺れた。
「…………何?」
「んー?トウコのふわふわしっぽが見えたから触りたくなっただけだよ。」
「…………………ばか。」
あ、ちょっと笑ってくれた。
「……………少ししたら、」
「ん?」
ポツリ、トウコが呟いた。
「少ししたら、もう大丈夫だから、さ。」
トウコの手が布団からひょこっと出てきた。
「手、握っててくれない……かな?」
顔は見えない。いや、見せたくないのかな。それでも僕は。
「うん。」
まるで柔らかい雪に触れるかの様にトウコの手を握った。
────────
女の子には理由も言えなく泣きたい時、理由も無く泣きたい時があると思う(´・ω・`)