運動にしてもポケモンバトルにしても。トウコもチェレンも何でも上手く出来ていた。いつも置いていかれているような気持ちだった。

「どうしたの?ほら、だいじょうぶだから、ね?」

そうやって君が、トウヤが優しく手を差し出してくれた。トウヤと手を繋いでいると暖かくて嫌な事を忘れられた。そんな関係がいつまでも続くと思ってた。でも、それは幼い日の記憶。



「俺、ちょっとライモンに行ってくる。」
「カミツレさんに会いに行くの〜?」

トウコがトウヤの脇腹を指でつつく。トウヤは少し頬を赤らめていた。私は只それを見てるだけ。

「カミツ……あいつが会いに来いって言うから行くだけだし!」
「素直じゃないなあ〜。」
「移動中、気を付けなよ。」

トウコとチェレン達は普通に声をかけてる。今、声を出したら何かが溢れてしまいそうだから私は気づかれないように静かに立ち去った。


1番道路で水の流れを見つめる。昔から悲しい時は此処に来て泣くのが習慣だった。

「私ね、知ってたの。トウヤは誰にも優しいって事。」

モンスターボール越しにエンブオーに声をかける。ボールがカタカタ揺れたけど、エンブオーを出す事はしなかった。これ以上、心配かけたくないから。でも、心の声は止めれなかった。

「他の娘より私を優先してくれる事もあった。でもね、それは私が幼馴染みだからなの。だから、………っ……くっ。」

もう駄目だった。涙が溢れていた。

「トウヤ………。」
「なに?」
「!?」

溢れた涙が止まるかと思った。実際は止まらなかったけど。

「な、なんで……」
「ベル、元気無さそうだったから。だから此処に居るかなって?」

昔からそうだった。此処で泣いてる時に迎えに来るのはトウヤだった。

「で、でも、カ、カミツレさん、待たせちゃ………駄目だよ。」

嘘。

行かないで欲しい。此処に居て欲しい。
でも、私を此処に置いて行ってくれれば吹っ切れるかもしれないとも思った。


「カミ……あいつなら大丈夫だよ。ちょっと遅れても。」

まただ、また私を優先してくれた。



じゃあ、

私の気持ち聞いてくれる?

私の涙を受け止めてくれる?

私の嘘の裏を見てくれる?


私のそばにずっと居てくれる?





「ちょっと、バトルの調子が悪かっただけよ。」

言えない。言えるわけない。

「ベル、嘘ついてない?」

なんで、わかるの。

「本当にそれだけ?」

そんな目で見ないで。

「何か隠してない?」

やめて。



「大丈夫、本当にそれだけだから。」

にっこりと笑えた。私の顔を見たトウヤはまだ怪しんでいたけど、時計を見て

「それじゃあ、俺行くけど……。何か言いたくなったらいつでも呼べよ?」
「うん、ありがとう。」

そう言って、トウヤはフライゴンを出して行ってしまった。
トウヤが見えなくなるまで空を見ていた。



「そろそろ、帰ろうかな。」
「トウヤも残酷だよね。」
「!?」

振り向いたらチェレンが居た。

「トウヤが……何?」
「残酷だよねって言ったの。ベルはトウヤのどこが良いの?」
「わ、私は別にトウヤを……そんな風に見てないよ。」

チェレン、私の気持ちを……。

「トウヤはすごく良いやつだけどさ、そこがたまに短所にもなるよね。」
「…………。」

私はそんな風に思ってない。トウヤは、トウヤは優しいだけ。

「もしかしたら、トウヤもベルの気持ち知ってて、」
「やめて!!」

チェレンの横を走り抜けた。これ以上、聞きたくなかった。
まるで、本当の事に聞こえたから。





「……やっぱ不器用だな、僕。」

ベルが走り去る姿をチェレンは見ている事しか出来なかった。





(嘘つきは誰?)



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主♂カミも主♂←ベルもベル←チェレも大好きなんです。もちろん、主♂ベルもチェレベルも!!フライゴンは今書いてる長編の手持ち。ウォークマンを聞いてたらガリガリと書いてました^p^タイトルの読み方はI(私)とIronyを掛けて(?)「アイロニー」です。
BGM/ir●ny、ねこ●記 、君●ごめんね
タイトルで曲がモロバレル/(^p^)\


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