私のマスター、ノボリは強さだけではなく美しさや気品を持ったトレーナーです。
普段は落ち着いていますが、バトルになるととても熱くなり楽しそうにしています。
ですが負けてしまった時、マスターは相手を「ブラボー!」と称賛いたします。そんな事が出来るトレーナーはそうそう居ません。サブウェイに来る大体のトレーナーが負けると悔しそうに電車から降りていきます。マスターはバトル出来る、相手がバトルしてくれた、そういった喜びを大切にしているのです。
ですがマスターとて、負けるのが悔しいのです。お客様が居なくなった車内でマスターは我々を撫でながら謝ってきます。私はその時間があまり好きではありません。
今日は常連客のくせ毛のポニーテールの少女に負けてしまいました。
「私は資料を取ってくるので休んでいてくださいね。」
マスターはそう言ってサブウェイの職員室から出ていきました。
またマスターを悲しませてしまった。どうすればマスターの悲しみを消す事が出来るのでしょうか。次のバトルで勝てば良い事なのでしょうが私は今すぐにマスターを元気にさせたいのです。
「あれ?ノボリここに居ないの?」
私が考え込んでいると部屋の中にクダリが入ってきました。マスターと顔はそっくりですがマスターの方が優しくて美し……。まぁ、彼も悪い輩ではありませんが。
「んじゃ、僕はコレをたーべよっ♪」
彼が手に持っているのは………マスターのプリン!?そ、それはマスターが楽しみに取っておいた限定の物なのに!?
「内緒だよ〜」
な、何を呑気に口に運んで、何が内緒ですか!?ふざけ……
「はい、一口どうぞ〜♪」
と私の口にポイと投げ入れました。お、美味しい……じゃなくて!まったくこの輩はいい加減に……!!
「クダリ、それは一体何を?」
「あ、やべっ。やっ、やっほーノボリ。」
いつの間にかマスターが帰ってきていました。マ、マスター、クダリがプリンを……。
「私の……プリン……」
「で、でもさ、僕だけじゃなくて……」
「おにびです!!」
マスターの回し蹴りがクダリの頬に直撃しました。のびているクダリを他所にマスター袋の中を漁っていました。
「せっかく差し入れでプリンをいただいたのに。一人で食べるなんて……しかも、私のを。」
マスターごめんなさい。私も一口食べてしまいました。
しょんぼりしているとマスターがスプーンにプリンをのせて差し出してきました。
「クダリの分はあげれませんが、私の分を一緒に食べましょう?」
マ、マスター。
「今日負けたからと、そんな顔してなんですか?貴方の所為ではありません。私の指示が悪かったのです。」
でも、マスター……。
「先程のバトルで得た失敗を次のバトルに生かしましょう?」
滅多に笑わないマスターがにこっと笑って、プリンの乗ったスプーンを更に口へ近づけてきました。
「ほら、オノノクス。」
そして私はプリンを口に含んだ。
どうやら、私の方が元気づけられてしまったようです。
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小野さん視点、むずかひい^p^
pkmn達にプリンを食べさせて良いのだろうか(´=ω=`)