「先程からどうされました、高杉?」

作りかけの干物を一旦シーツの上に置いて、背筋を伸ばしながらやたらと私の観察に勤しんでいた高杉に話しかける。すると彼は苦い顔になってから十数秒黙りこくり、嫌そうに口を開く。

「ヅラがイメチェンしたろ」
「今朝方からハイテンションでしたねぇ」
「後姿がナマエに似てて、間違えて声をかけたら銀時の奴は間違えたりしねェと宣いやがった」
「ははあ」

腹が立つ顔で言い放ったであろう当時の桂が容易く想像できる。腹が立つので腕を組みながら脳裏から追い出した。

「銀時は髪質を気にしていますからね、君達よりも注意深く見ているんですよ」
「……それだけのようには見えないがな」
「そうでしょうか?」

はて?梅雨の時期は特にサラサラストレートを親の仇が如く憎悪する銀時にそれ以外の理由がありましたかね。思いつかないです。

「無自覚か」
「……私絡みだった場合はそうなりますね」

高杉の言い方からするときっと理由に私が入っているんでしょうけども、てんでさっぱり。私も一応サラストなんですが。

「まあいい、それ一つ寄越せ」
「塩がまだ沁みこんでいませんが?」
「うめえからいいんだよ」
「それなら良かった」

何気に私お手製の干物を一番食べているのは高杉だったりする。私たち味の好みが似ているんですよね、実は。



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