ランボの頭には明らかに物質の法則が通用しない空間が存在するのは間違いない。なにを突っ込んでいるのかは知らないが、少なくともロケットバスーカが入ってることは知っている。風呂に入る以上、そのような物も例外なく取り出してもらわなければならない。だというのに、何故そんなに嫌がる。さっさと出しなさい、ほら。言う事が聴けないなら外に追い出すぞ。居座るつもりならやれ。
そんな禅問答を繰り返している内に、ランボがロケットを私に向けた。

「は?やるっての?」
「うわーん!!」

ロケットを向けて良いのはロケットを向けられる覚悟がある奴だけだぞ?はい前後ろの向き反転。怪我しても自業自得。ドーン。煙が開けた先にはアフロが爆発したランボ……ではなく十年後のランボ。どうやら十年バスーカの方だったらしい。

「あれがこうなるんだものな……」
「やれやれ、一日に二度もとは……ッ!?」

十年って長いな。そう思っていたら、十年後ランボはみるみる内に顔が真っ赤になり後ろに振り返った。なにしてるんだ。

「わ、若きボンゴレ、もしやこれから小さい俺を風呂にいれようとしてました?」
「あー、うん。武器放せっていっても言う事きかなくてさ」
「ああああ……すいません……いや小さい俺グッジョブ……」

ちらちらと顔を戻して横目で見つめる十年後ランボ。なにがしたいんだ。……待てよ?そういえば私、ランボを風呂に入れようとして着替えてたな。今の格好は全裸に近い半裸だ。それを年頃の男に見られているという、現実。……恥ずかしい。でも慣れてる……小学校時代プールで慣らされた……悲しい現実……初心だった私カムバック。

「あ、あのっ!若きボンゴレ!」
「あ?なに?」
「貴女の知る俺はハナタレのガキですが!大人になったらこうなるんです!」
「成長凄いね、私より高い」
「でしょう!?頑張って牛乳飲んだんです!ってそうじゃなくて……どうです?」
「どうとは」
「だから……女心にぐっときません!?中一の頃ですよね!?」

別に……こういうチャラ男は近寄り難いなー、くらいだけども……

「うううう、あ、貴女は……これから色々な人と知り合いますが、覚えててほしいんです、傍に俺がいるってことを!お、俺……俺は、少しでも貴女に追いつきたくて、この時代の俺は何も考えてないバカな子供だけど、貴女の後ろを必死に追いかけてるんだって――」

ぼふん!

「おれれのれー?おっきいケーキは?」
「……ほう」

アホ面晒してるランボがケーキを求めて右往左往してる姿を眼下に見ながら、一人私はマフィアのボスになれてる未来も存在するんだなぁと地味に感動していた。
価値観の反転も大変だけど、命の危機の方が大変だ。

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