私が熱望していた忍者学校の教師の件については、臨時講師として招かれたり、火影が忍者学校を定期的に視察する際に一緒に着いていったりと、幾つか接点を持つことで折り合いをつけることにした。不満はあるが致し方なし。

――ここにオレ達の集落を作ろう!!

かつてあの断崖の上で、俺たちは夢を語り合った。
幼い頃にこの地で語り誓った夢が今まさに現実となり、先へ進もうとしている。本当に感慨深い。少し、目の奥がじんと熱くなる。

「柱間殿の顔はもっと心の内にある優しさが醸し出されているだろう!」
「これは里の象徴になるんだ!敵を威圧する厳めしさの方が前面に出すべきだ!」
「もう少し彫を深くしよう、そうすればもっと威厳があるように見える!」

「ハハハ!オレの顔がぐにゃぐにゃぞ!!」
「貴様等何をしている、前回の話し合いで作り上げた構想通りに仕上げんか!」

職人たちが断崖に黒ペンキで下書きしながら互いに理想とする柱間像を付け足していく内に、元々描かれていた柱間の顔(崖)とはまったく程遠いものになっていく様を腹を抱えて笑いながら見守る柱間(人)、暴走する職人たちに怒る扉間。
前方の人達が騒がしくしている様子を見て、熱くなっていたものは引っ込んだ。
代わりに笑みを浮かべながら、右手についさっき届いたばかりの見本の品を掲げて柱間に声をかける。

「火影殿、貴方が待ちかねていた物が出来上がったようですよ」
「お〜〜〜!ついにか!」

木ノ葉隠れの里を象徴する記号が描かれた額当てを心底嬉しそうに見つめ、四方八方から見つめる柱間。子供のように燥ぐ柱間とは対照的に、扉間は額当てを見下ろして冷静に柱間に意見を伺う。

「どうだ兄者」
「うむ、うむ!望んだ通りだ!いやそれ以上ぞ!」
「ではこのまま量産する形で進めよう」
「これならミトも喜ぶだろうな〜!早速見せに行かねば!!」

柱間は私の手元にあった試作品額当てを奪い取ると凄まじいスピードで火影邸へ去って行った。子供か。

「はあ、まったく兄者は……もう少し感情を抑えろと言い聞かせているというのに」
「分かりやすいですよねぇ。私は火影殿のああいう所が好きですが」
「……お前は兄者を扱い易い馬鹿と思っているのではないか?」
「まさか!そんなこと、ちょっとしか思ってないです」
「思っているんだな」

視線で詰ってくる扉間。いやだって扱い易い馬鹿ですしぃ。そこは事実じゃないですか……?ねえ……?

「貴方だってそう思ってるでしょう?」
「オレは違う、多少情緒不安定だと見解しているだけだ」
「いえそっちではなく」
「……?」

怪訝そうな顔を向けられた。ゆっくりと目を細めながら柱間が走っていった方向へ目を動かす。

「ああいう所が好きという部分ですよ」
「…………阿呆か?感情丸出しの兄者のお蔭でオレが今までどれほど苦労してきたと思ってる……」

おや認めたくないのですかね。ふふふふ、まあそういうことにしておきましょうか。

「その見ているだけで青筋が浮かんでしまいそうになる顔をすぐにやめろ」
「なんのことでしょう?」
「両頬に手を当てろ、それだ!」

え〜〜ちょっとユキナリくん何言われてるのか分かんないな〜〜〜〜。

「 い ま の か お だ !この馬鹿者!!」

わかんな〜〜い。


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