12.

「どういうこったこりゃあ〜〜〜!!ユキナリ!!そいつは誰だ!?何でガキを一匹連れて帰ってんだよ!!!」

事前通達無しでサボの顔見せをした為、ダダンは派手なリアクションで嫌そうにサボを指さした。俺の後ろできょろきょろと忙しないサボはダダンとその後ろに控える手下たちの不歓迎っぷりに目を丸くさせる。

「不確かな物の終着駅≠ヘ子供が生きていくには不衛生が過ぎるだろう?つれてきた」
「なに勝手に決めてんだ!!おめェの世話だけでも大変だってのに!!」
「ああ、俺も馬鹿なことをしたと思ってる……」

軽く自嘲して俯くと、ダダンは何やら「うっ」と呻いた。

「……まァおめェは別にそんなに手のかからないガキだからね、追加のガキ一匹ぐらいは」
「――お前らの世話でも手一杯だっつうのにもう一人増やすことになるとは……」
「――っておめェが世話する側かよ!!!」
「というわけだサボ、こいつらに挨拶しとけ」
「お、おう。あんたがダダンでいいんだよな?おれはゴミ山のサボ、これからよろしく!」

話を振ると慌てた様子で頭を下げた。急に増えた住民にまだ戸惑っているドグラたちに今日の狩猟分を放り投げ、自室の方へ。

「部屋は俺と相部屋だ。あそこの俺の名札がかけられる扉」
「ああ、あっちだな!」
「持ってきた荷物も全部おいとけ」

一目散に自室に向かっていったサボを見送り、ダダンたちと向き直る。
あと二度三度ほどはダダンの怒号を耳に通すことになるだろう。食糧調達も収入も俺が上だが家主はダダンだ、文句を続けてくるのは分かり切っていた。右から左に聞き流す準備をしていたのだが、予想外にもダダンは口をへの字にして不機嫌そうにしながらも怒鳴りちらしてはこなかった。

「……ユキナリ、おめェ あのガキとはどういう関係だ?」

俺とサボの関係。……関係?ぶつぶつと呟きながら首を捻る。そんなのは一回も考えたことはない。戦う度に強くなる彼奴が面白く、喧嘩を繰り返して身体の動かし方を叩きこんでやったが、師弟という感覚はないし。ゴミ山にいる同世代のゴミ漁り仲間?間違いではないな。おちょくってて笑える相手、将来が楽しみな奴……

(いや……遠回りに考えるのは止めだ)

まぁ、あれである。つい今朝方、素直になろうと決めたばかりだ。ぱっと思いついた言葉を口に出してしまおう。

「――――友達、かな」

他人について考えていると自然と浮かぶ薄い笑み。ダダンたちや爺さんのような付き合いの年数と年齢が一致する人物ではなく、赤の他人を相手にしてそうなったのは今までで経験がない。
はっきりと言語化できるわけじゃないが、ともかく、サボは一緒にいたいと思った初めての相手だ。

「そうか。……けっ!どうせアタシの言う事なんざ聞きゃあしないんだ、好きにしな!!」
「ありがとうな、ダダン」
「……なんでこういう時だけ無駄に口を利きやがるクソガキがァ!!!」

俺は結構喋る方だぞ。


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