現人神




前回までのあらすじ!

三年間勤めていた会社をクビになった私・雨宮柚希は同級生の実家の「夜刀神社」に願掛けに参りました!そういえばこれが初めての名乗りシーンじゃないか!始めまして雨宮柚希です。

願掛けしたら逆に鬱状態になったので気分を落ち着かせようと境内の中を歩き回っていた所、地面に御神鏡を発見。

神主さんに渡そうと触れた瞬間に御神鏡が粉々に割れたので怖くなって家に逃げたら部屋の中でヤモリさんとイモリさんという神様に出会いました!

彼らいわく、私は夜刀の神様から「顕現の鏡」を奪って「真白の神」とやらになってしまった模様。

夜刀の神様本人が顕現の鏡を追ってきて「鏡割ってごめんなさい!」って謝ったら問答無用で胸に指刺されたよ!

そして夜刀の神様曰く「鏡が抜けない」とかなんとか……………で!

あらすじ終了!









「こんな感じの説明でいいですかね?」


「いいから。意味が通じなくてもいい。早く話を進めたい」


夜刀の神様が真っ黒じゃなくなった床に座る。天井はまだ真っ黒なのにね。あれいつ直るんだろう。


「お前が割ったと思っている鏡は「顕現の鏡」という」


「けんげん?」


「はっきりと顕すこと。姿や内容を明瞭に現すことを「顕現」と呼ぶ」


「はぁ………で?」


「………一神四鏡」


「いちがみしきょう?」


「東西南北を封じるように、一人の神につき己の力を示す四つの鏡を自分の周りに置くのが神の決まりだ」


「………あるの?イモリさん?」


兵児帯にまだもみくちゃにされていながら、イモリさんは『ありますとも!』と答えてくれた。親切な神様だ……。


「その四鏡の一枚。「顕現の鏡」は今お前の中にある」


「私の中?」


「取り出そうとしたが………取れなかった。多分、お前と一体化したんだろう」



夜刀の神様の話によると今、私自身が「顕現の鏡」とやらになってしまっているらしく、神様の力を得た人間。現人神に近い状態だという。



「あら、ひとがみ?になると何かあるの?こう………運が上がるとか?」


「いやまったくない。むしろ狙われる」


「狙われる?」


「妖怪や下位の神にな。あいつらは常に成り上がるのを狙ってるからな」


『大丈夫でございます!』


『我らがお守りいたします!真白の神!』



「お前らも下位の神だろう」


『えぇい!だから我らはお主が好かんのだ!』

『元は我らが主<あるじ>が治めたる神の座を奪いよって!!』



「あぁ、なんだお前たちは河紫主<かしぬし>の眷属か」


「あ。ヤモリさんとイモリさん。ようやく脱出したんだ」


短い足でたしたしと私の元まで歩いてくると、私の体を盾にしながら、二人は夜刀の神様に抗議をする。その話を一切無視して、夜刀の神様は私の方を向いた。



「最悪なのは…………」



夜刀の神様が今まで表情を変えなかったのに、急にテンションが下がっていく。

こ、怖い怖い怖い…………!!
暗いよこの神様!!



「……………おい」


「はい!?」


「お、お前、夜刀神社で………あぁ……で、でも、でも………!」


「落ち着いてくださいよ」


「お前、夜刀神社で働か、ない、……か?」


「……え「ぎゃあああああっ!!!何も言うな!何も聞くな!!!」


夜刀の神様はヘヤノスミスまで後ずさるといきなりがくがくと震え出す。
マフラーで顔を隠し、天井からまた液体が垂れて球体を作り上げる。


「就職、決められるの?」


「……ああ。そういう流れに、持ってこさせるからな」



同級生の実家だから慣れてる。
給料は高くなくてもいい。
とりあえず働けるなら……いい!!




「やる!!私夜刀神社で働く!」




就職再決定!!








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