※磁石のSとN続編


季節は2月15日。遅いバレンタインを祝う人もいれば、昨日の甘い雰囲気はどこに行ったのか?なんて疑問を抱くほど日常を送る人間もいる。

が、

………。


「鬼神様!お探ししましたよ!鬼神様の居場所を本能で当てる。これぞ愛の成せる技ですね!これは鬼神様と共に在れという啓示ですかっ!?」


「ぎゃああああっっ!来るな!その手に持ってるものはなんだ!?ばっ、爆弾か!?とにかく俺に近付くな!部屋に入ってくるなぁああああっ!!」


「何だこの状況は」


状況説明!
私が家のドアを開けて帰ってきた。リビングに行くと、窓には某トンスラ帽子の自称鬼神信者の神父が片手と片足を室内に入れている。

同居人兼恋人兼鬼神はその窓から入ってこようとする神父をこれ以上家に入れないがため、細い体で全力で窓を締めようとしている。


「……ここ、二階なんだけど」


むしろあのクソ神父、どこから阿修羅の情報を嗅ぎ付けた?
デスサイズになった時の追加能力として、魔女のソウルプロテクトに似た効果を手に入れたからって慢心しすぎた?

いや………むしろ警戒しすぎた傾向にある。二重、三重のソウルプロテクトと、誰かが家に近付けばセキュリティで私の携帯に連絡が来るようにしてある。


………のに。


「何を恐れることがあるのでしょう!?さぁ鬼神様、僕の信仰心を受け取ってください!」


「いぃあ、いら、いらないっ!!俺のことを心配するなら帰ってくれっ!」



イラッ。

私はリビングの窓に近付き、阿修羅をやんわりとどかすと、今まで一進一退の戦いを繰り広げていた窓を一気に開けて、


「Good bye。」



ジャスティンの腹を蹴り飛ばした。

突然のことに窓から離れる足と手。私も追うように窓から外に飛び出し、外側から窓を閉めた。


「また僕の邪魔ですか破壊神!?」


「私たちの平和な日常を邪魔してるのはアンタでしょうよ」


私は右手に釘バットを握り、ジャスティンは右手の腕にギロチンの刃を出す。


「あぁ……おいたわしい鬼神様!信仰心も何もないこの年増に好かれるなんて……僕の所に来て下されば、望むものは全てあげますのに!!」


「阿修羅を甘やかすんじゃありません!!」


「鬼神様を呼び捨てにするんじゃない!!」


金属と金属がぶつかった音がした。ギロチンが、頭目掛けて降ろされたのを、金属製の釘バットで防御したのだ。火花が散るくらいに思いきり降り下ろされたな。ギロチン。


「長年デスサイズとして勤めてきた私が最年少デスサイズのガキに負けるとでも?」


「貴女は負けますよ。体に体力が追いつかないでしょうから」


「…………」

「…………」


「壊す、今度は絶対に逃がさない」


「貴女を処刑して鬼神様に安らぎを与えましょう!」


デスサイズVSデスサイズ
結局のところ、二人は似た者同士のようだ。









「じゃすっ、ジャスティ、が持ってきた爆弾が怖くてあ、安心できない!」



それはチョコですよ。と伝えられたのは日付が16日になってからの話。