「笠松くんっ」
はあはあ、と息を切らして走ってきたこいつは水崎ひなた。
マネージャーも大変だな。
「遅い、馬鹿ひなた。
結構待ったんっだぜ。」
「う、ごめん、」
しゅん、と子犬の様に目を潤ませてこちらを伺うひなた。
「ははっ、そんな怒ってないって。冗談冗談。」
今、無意識に俺を(上目遣い+涙目)煽るこいつは、
俺の幼馴染みであり、俺の好きな人でもある。
女が苦手な俺が唯一話せるやつが、こいつ。
女の癖にサバサバしてやがるし、
キレたらその愛くるしい容姿からは想像も出来ないような毒舌少女に豹変するし...
でも、その普段とのギャップっつーの??
らしくないけど、その、可愛い、とか思っちまう。
「そっか、良かったぁ」
にへら、と目元と口元を緩ませて笑う。
俺はひなたの感性豊かで表情がコロコロ変わる所が好きだ。
どんなこともすぐ顔に出るから、嘘も下手だし、何より見ていて面白い。
「さ、笠松くん!!はやく帰ろー!!」
「おう。」
いつもの帰り道
(あ、森山くん!)
(げ、)
(ひなたちゃん!!何これ運命!?)
(さっき部活で会ったばっかじゃねーか!!)
(ひなたちゃんが俺を待っててくれた...!!)
(お前は二回くらい死んでこい!!)
(笠松君、死ねとか言ったらだめ!)
(ひなたちゃん優しい...!!)
(おまっ、ひなたに抱き付くな!)
(あいたっ!蹴るなよ!!)