ごめんね、もう待てない
※青木がドＳ
※二人は出来上がってない設定
「君、さ」
ひりひりとした雰囲気が怖い。青木の怒りは静かな分、益田には余計おそろしかった。
冷たい目。よく見れば端正な、幼ささえ感じさせるその容貌。
煙草をくゆらせて、青木は益田を凝視(みつめ)ている。
益田はやっと話って何ですか、と青木に尋ねた。
いきなりこんな廃屋のような倉庫に連れて来られて説明もしないなんて馬鹿にしていると思う。
喉がひどく渇いている。
ふ、と青木がわらう。僅かな雰囲気の収縮にすら怯える自分が恨めしい。
腕を強く掴まれた。
ぞっとした。
「ひっ、」
益田は条件反射的に青木の手を振り払った。
彼は驚いたような顔を浮かべた。そして、すうっと目を細める。
ひりひりとした雰囲気を発する青木がひどく恐かった。
自分がどんな顔をしているのか見当がつかない。
「――何それ？」
冷たい声に、ひくっ、と喉が動いた。もうやだ、もう、なんで、
「なんでそんな、怒ってる、んですか？」
へつらうように、笑おうとした。
頬は固く強張っていて、上手に笑えたとは思えなかった。
青木は益田から視線を外さずに、煙草を口につけて吸い、離した。
「誰が？」
簡潔な三文字。
今この状態の青木と話すのが益田には泣きたいぐらいに怖かった。
こんなに青木が怒る原因が何なのか、いくら考えてもわからない。
溜まらず目を伏せ、くらい床を見た。
体が震えているのに気づく。
「ねえ、」
冷たい青木の声に目がひらく。肩が揺れる。
煙草の煙が目にしみる。
脅すような、低いこえ。
ざらりとしている。
「ねえ、益田くん、こっち向いて」
「――やです、」
泣き声がでた。もう、いや、もう、あの顔を見るのが怖くて怖くてたまらない。煙草のにおいがする。鼻にもしみる。
「――熱いよ」
何のことだか分からなかった。
次の瞬間くびが、かゆくなって、そして、
「――っ！！」
俯いたせいで剥き出しになっていた首の後ろを押さえて益田は頭を上げた、あつい、あつい、あつい、目をほそめ益田を見る青木がみえる。
首が、焼けるように痛い、手の平を見てみると、僅かに灰がついていた。
青木は手に煙草をもっている。
信じられなくって、益田はただ青木を見つめた。
「――ねえ青木、さん、これ、何ですか」
答えなど分かっていたけれど問うてみる。
声がぞっとするほど裏返りかすれていた。言葉の途中でおもわずわらってしまう。
青木は当然のことのように言う。
「何って、煙草」
ぼろ、と目から涙が落ちた。
あとはもう一気だった。ぼろぼろ、ぼろ。
ここまで嫌われていたとは流石に知らなかった。
鼻水がでてきた。すんっ、と勝手に喉がしゃくりあがった。涙がほほを、伝って落ちる。
――ああもう、可愛い。
青木は煙草を床に捨てて足で潰した。
やっと泣いてくれた。
なぜ煙草を押し付けたかって泣くのが見たかったからだ。あのとき泣き声だったから、ああもう泣くなと思って、顔を上げさせたかった。青木は益田のぐちゃぐちゃした泣き顔を、愛の告白の前に見てみたかったのだ。
たまらず口元がゆるむ。
「益田くん」
しゃくりあげるなよひッひッて、そういうの、反則、やばい。
「益田くんごめんね、すきだよ、だいすき」
涙を指で拭いてあげると、益田はひどく怯えて青木を見る。
ああもう可愛いったら、ありゃしない。
ごめんねもう、待てないんだよ、ますだくん。
―――――
下書きから清書に２時間かけてないとおもうよ…
昨日のアカン警察の浜ちゃんのＳっぷりに影響されました
煙草投げるとかあかんでしょう！ |