メールの下書き機能のところに放置してあった謎の小説
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休み時間の今、私はたくさんのクラスメイトに囲まれていた。 なんでか、なんて疑問は簡単に解決できる。 私が今日、転校生としてこの帝光中学に編入してきたからである。 しかも、父親の転勤とか、そういう理由ならまだ理解もできるもんだが、私が学年が上がって一週間とかいう妙に中途半端な時期に転校してきた理由は、もう少し複雑だった。 そうそう、言っておくと、私の父親は私が小学校低学年かそこらの時に急逝して今この世にはいない。 だから私の転校の理由は、父親が絡んでいるわけではない。いや、ある意味関わってるんやけども。
おっと、口が過ぎてもーたかな? ともかく私は只今、奇妙な時期に編入してきた転校生として質問攻めに会っていたのでした、っと。 前の中学の時に手にいれた対人スキル(高Lv.)で適当にやり過ごして、次々に会話を捌いていく。 転校生はやっぱり第一印象が大切やしなぁ、ここであんまり突き放すようなことしたら後々の学校生活に支障がでてまうし。 何気に考えながら、適度な精神的間隔を空けて会話を続けていくと、ふと聞き覚えのある声が私を呼んだ。
「○○さんって関西弁だけど、やっぱりそっちの人なの?」 「うん、そやで。標準語使える気ぃせぇへんねんよー」 「○○」 「なんや、イントネーション…?ってあれ、赤司くん」 「なにをやってるんだ、休み時間中に構内を案内して欲しかったんじゃないのかい?」 「えっ?あ!あちゃー、忘れとったわ…ごめんな赤司くん。今からお願いしても大丈夫?」 「もちろん構わないけど」 「ありがと!ってことで堪忍な、刑部さん。また後でお喋りしようや!!」 「えっあ、うん!」 「他の人も!後でいっぱい喋ろ!!」 「おー」 「いってらっしゃい!」
にこにこ笑いながらクラスメイトに手を振って教室を出る。 時間は昼休み、いっぱいあるし、できるだけ話してもらおうか。
「で、従兄弟くんは突然どないしたん?」 「父上に君の世話をするよう頼まれてね。もしかして要らぬ世話だったんじゃないか?」 「そないなことないよぉ、ありがとうな」 「こちらとしては君の機転が利いた返答に感謝したいくらいだよ。悪かったね」
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