熱まとっている布を自分の手でまさぐり腿の間に指を差し入れた。…今夜はやけにムラムラする。 「んっ…」 すでに硬く主張している熱。そっと握れば腰が悶え揺れる。 シンドリアの豪華な王宮にもうけられた自室でアリババは一人、身体を慰めていた。自分だけが寝るには余りある広さのベッドに横たわり行為を始める。 熱を握りしめた手を素早く上下させた。 (前に抜いたのっていつだっけなあ…) 押し寄せる快楽に耐えつつぼんやり考える。 近頃は剣の稽古に明け暮れ疲れはてていることが多かった。性欲どころではないハードな日々を過ごしている。 「んあ…っ」 アリババの脳裏に、ある人物がよぎり思わず漏れる嬌声。 「…し、しょう」 師匠、師匠。 彼の姿が浮かべば浮かぶほど、熱い息吹が下半身に凝縮されていくのを感じる。つい先程まで剣を交えていた姿がはっきりと目の奥を満たし、身体が高揚した。剣を振るう逞しい腕、鋭い眼差し、酒を飲んだときの甘ったるい声…。シャルルカンの全てがアリババを欲情させる。 師匠は厳しいけれど、優しかった。 酔っ払って抱きつかれた夜は、眠れないくらい興奮した。いつの間にか…好きになっていた。 「師匠…」 目尻の下がった彼の色っぽい瞳に見つめられることを想像するだけで… 「んっ……あぁ…!」 …簡単に放たれてしまう精。 手のひらに溜まった白い液を眺めれば、胸を襲う…罪悪感。 (俺は弟子であの人は先生で…) 師匠に対し、こんなにもいやらしい感情を抱いていることをシャルルカンはもちろん知らない。彼は純粋に剣の稽古をつけてくれているというのに。浅ましい自分。 「はぁ……」 収まりきらない熱がため息となる。 (もう一度だけ…シよう) 浅ましいついでだ。覚悟を決めアリババは再び欲の処理を始めた。 幾度となくアツいものが込み上げては果てていく。それなのに…アリババに宿る熱は温度を増してゆくばかりだった。 |