初めて鎌之介を抱いた夜、才蔵は言った。
『おまえが欲しい―』
男の自分が男に虐げられる忌々しいはずの夜。しかし鎌之介はたくましいの腕の中、思った。

(ああ、こいつになら春を奪われたって、殺されたっていい―)

誰かに求められたのは初めてだった。疎まれることに慣れすぎていた心に、なぜか才蔵の言葉が突き刺さった。嬉しい……というのだろうか。もどかしい、むず痒い、妙な感覚。
 ―やるよ。全部やるよ。俺の命も身体も、好きにしやがれ。
もとよりあの日失っていたはずのこの命。
彼の熱い精液を後部に注ぎ込まれながら、鎌之介は満たされていく絶頂を感じていた。どんなにイイ女との性交でも、ここまで狂気したことはない。やはり才蔵だけなのだ。感じたことのない世界までイかせてくれるのは、才蔵しかいない。

「……なぁ?いいだろう?才蔵」
互いの距離を徐々に埋めていく鎌之介。
一歩、一歩と歩を進めるたび纏っている着物が地面に落ちる。
「…おい」
 ―スルリ…
髪留めに手をかけて、紅い髪を散らばせる。滑らかな毛先が頬をなぞる。
「シねぇって、言ってるだろ鎌之介」
「いいぜ。その気にさせてやっからよ」
いよいよ二人の距離は無くなった。
鎌之介は上半身の着物を脱ぎ落とした。身に着けているのは下半身の薄い布だけ。
才蔵の右手をとり己へと誘う。首筋から鎖骨へ落ち、胸を下がり腰にまで手を這わす。
「なぁ…イこうぜ、一緒に」
「………」



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -