からくれない




「ん〜っんっんん〜」
「……音痴」
「んっ!ンだと!?」
「あー…振り向くなバカ」
機嫌良さげに鼻歌を口ずさむ鎌之介。
才蔵はその背で彼の紅髪を結ってやっていた。
しかし…女の髪すら結ったことなどない才蔵。勝手が分からず、うまく髪がまとまらない。
「才蔵、まだかよ?やっぱ俺が自分で…」
「うるせえ」
怪我人のくせに、ほっとけば無理して動くに違いない。
鎌之介の監視を兼ねて、代わりに髪を結ってやることにした。
「テキトーでいいぜ?」
「良くねーよ」
どうせならキレイにまとめてやりたい。…キレイな髪だから。
手に滑り落ちてくる紅髪。
ふと、才蔵の手が鎌之介のうなじをかすめる。
「…おっ」
ビクッと反応する鎌之介。
「どうした?」
「いや…べつに」
……ずいぶん反応がイイじゃないか。
もしかして、と才蔵はもう一度うなじに触れる。
「…うおっ!な、なにすんだてめえ!」
「おまえ…首弱いの?」
「ハァ!?ちげーよ!」
ムキになり否定してくる辺り、相当怪しい…。
才蔵はわざと、指でうなじをなぞってやった。
「ひゃあっ…!」
身をよじり抵抗する鎌之介。
「へぇ…。おまえにこんな弱い部分があったとはな」
面白いことを見つけた、と口元がにやける。
こんなにおいしい弱点を責めない手はないだろう?
「も、もういい才蔵!あとは自分でやるから!」
その場から逃げようとする鎌之介の腰へ素早く腕を回した。
「なっ!」
そのまま、ぎゅうっとこちらへ引き寄せ、後ろから抱き締める。
「逃げんなよ?」
顔を真っ赤にした彼の首元へ口付けた。
「…ひゃっ」
ハラハラ散らばる髪が才蔵の鼻へかかる。
……鎌之介のニオイがした。
 ―そそる。

腰に回していた腕を鎌之介の下腹部へ、落とす。
「さ、才蔵…っ」
着物の中へ滑り込ませる手。彼のかすかな抵抗はたくましい腕によって封じられた。
「やめ…ろっ」
「そんな顔して…誘ってんの?」
ひどく扇情的な顔。
上気した頬が、白いうなじが、流れる紅髪が、すべてが才蔵をそそりたてる。
「…硬てぇな」
鎌之介は…勃起していた。
先程の口付けで、欲情していたのだ。
「ちがう…」
「じゃあなんで…勃ってんだよ?」
答えは無い。が、ソコを見ればすぐにわかる。
才蔵は硬くなった性器をギュッと握り、着物から取り出した。
「見ろよ?素直だな、こっちは」
艶を帯びたなめらかな雄が曝される。見せつけるように上下に擦り上げてやる。
「ん…あぁ…」
たまらず漏れ出した悩ましい声。
鎌之介の腰がゆっくりと、手の動きに合わせ前後し始めた。
いやらしく揺らめく男の腰。
うなじから耳へ。顔を埋め、幾度となく舌で舐め回した。
「あぁっ!…んんっ…」
切羽詰まった表情。近い限界。






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