誰も居ぬ間に



どんなに大声を出しても誰にも咎められない。
二人の間へ入り込むうっぜえ女もいない!
「才蔵!すっ、好きだあ!」
「…ああ、そう」
「ぎゅーっとしてくれ!」
「ん。あとでな」
「風呂…いっしょに入ろうぜ!」
「ああ。また今度な」
「……適当に受け流すなよお!」
縁側に寝転びのんびりとした時間を過ごす才蔵。
その隣で大人しく寝ていた鎌之介だったが、せっかくの二人きりを満喫したくなった。
「なあ…な、なんかしようぜ」
才蔵の着物を引っ張って催促する。
「なんかって?」
「その…イチャイチャ、とか?」
目を閉じたまま才蔵の口元が緩んだ。
「いいぜ?しようぜイチャイチャ」
「うおっ!」
景色が暗転した途端、体に重みが被さり床に押し倒される。
「…どんな風にしてほしい?」
一瞬の内、才蔵の整った顔が目前に迫った。
愛しい男に間近でじっと見つめられ、頭がポウッと沸き上がる。
「せ、接吻…してほしい…」
普段、恥ずかしくて言えない本音がするすると出てくる。
(きっと…熱に侵されてるんだ)
願った通りの優しい口付けが降った。
「ンっ…」
柔らかい唇。
鎌之介は自分のほうから口を開いた。才蔵に入ってきてほしいと無言で誘う。
「次は…?」
接吻の合間に響く低い声。
「ん…触って…」
最後まで言わずとも、逞しい男の手が鎌之介の着物を一気にたくしあげた。曝される白い肌。
小さく主張する桃色の突起が才蔵の指に触れる。
「ンあっ!」
こそばゆい感覚と、走る刺激。他人には触られたくない場所なのに…彼だけは特別。
器用な指で突起をつまみ上げられる。爪で軽く弄られればたまらない刺激が全身を通り抜け、下半身で留まった。
右側ばかりもてあそばれては左が物足りなくなる。
「才蔵…こっちも、して…」
「おまえ、感じ易すぎ」
「……違っ」
何も知らなかった体へ気持ちいいことを教えたのは才蔵のくせに!
「ま、ヤり甲斐あってイイけどな」
意地悪い眼差しが楽しそうにこちらを見つめる。
いつも翻弄されてばかりで軽くあしらわれることも多くて…
それでもやっぱり、
「好きだ才蔵」
この男のことを好いている。
身体を触られているだけでこんなにも幸せを感じる。見つめらると見つめ返したくなる。
「なんだよおまえ…この状況でそれ言うか普通…」
余裕たっぷりだった才蔵の頬に薄く紅がさした。
「好きだ!大好きだ…!」
たまらなく才蔵が愛しい。鎌之介は彼の広い背に手を回し、強く抱きしめた。

愛を確かめ合おう、誰も居ぬ間に。




○アンケよりイチャラブ才鎌
ありがとうございました!


戻る


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -