何処か行こう


※現パロ

交わったあとの気だるいキスが好きだ。
何もかもどうでも良くなるような、ベッドの上。
流れる紅髪を、指でグシャグシャにかき乱しながら口付けを繰り返した。

「…ん…んー!佐助…くるしい…!」
下から胸を押され、ハッと我に返る。
「…ごめん。苦しくした」
「溜まってんのかテメェ」
「…ち、ちがう」
キスの余韻から一気に覚める。今までの自分の行動が急に恥ずかしく思え、顔が赤く燃え上がった。
「ヤる?もう一発」
「しない!」
……あれほど行為を重ねたというのに、この男は余裕な顔して、とんでもないことを言い放つ。
「ンだよー。まだ残ってるだろ?体力と精子!」
「…なっ!」
「いまさら何恥ずかしがってンだよバーカ」
意地悪そうにニヤリと口元をゆがめる鎌之介。笑いながら、ほっぺたをウニウニとつままれる。
「うにうにー!変な顔!」
「ひゃめろぉ」
「やめねえ。おもしれェもん」
組み敷いているのは佐助なのに、いつも翻弄されっぱなしだ。
付き合い始めて一年。初めて身体を重ねたのは半年前。
佐助にとってはすべてが初めての積み重ねで、何かと鎌之介にリードしてもらっている。自分が…貞操を捧げる日が来るとは思わなかった。
「はぁぁ…なんかアクビがでる。佐助、寝る?」
さすがの鎌之介も、眠気で目がとろけている。
「寝る。何時、起こす?」
「おまえといっしょでいーよ」
「諾」
体勢を横に移す。
部屋の置き時計はもう昼の一時を指していた。
夕方には起きて風呂に入ろう、と思う。明日からはまた、二人とも仕事の日々だ。
今日のように休みが合うのは珍しかった。社会人になると、なかなか時間の融通が効かない。鎌之介と過ごす時間が減ったことを寂しがる暇もないくらい、働き詰めなのだ。
それでもたまにこうして会うと……仕事なんて辞めてしまおうか、と柄にも無いことを考えてしまう。

本当は明日も明後日もいつも会いたい。

「こっち見すぎだサル」
いくら見ても見足りない。
わがままな恋人を持つと自身もわがままになってしまうようだ。
近頃の佐助は、鎌之介のすべてが欲しくてたまらない。
「…鎌之介」
「ん?」
「やっぱり、何処か行こう」
「…ハァ?」

せっかくの、ふたりいっしょの休日。
寝て過ごすのも平凡で幸せだが、まだまだ二人で出かけたい場所がたくさんある。
もう一度時計を見た。
まだ一時、休みはこれからが本番だ。


戻る




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -