部誌8 | ナノ


Marry me?



国と人間とじゃ
時間が違いすぎる

俺にとっては大したことない月日でも
君にとっては長い時間なんだろうね



「ねえ、なまえ」

『なんでしょう?アルフレッドさん』

「君、今年で幾つになったんだい?」

『25ですかね…
 周りの友達はみんな結婚して子供もいてって感じですよ』

「そうかい」

『どうしてそんなこと聞くんですか?』

「ううん」



人間と同じ生殖器を持っていたとしても
子孫を残すことはできない
愛している女性との間に
自分の生きた証っていうのを残せないのは
結構辛いものなんだな…

なのに君は俺と長いこと一緒にいてくれてる
愛っていう感情とかを教えてくれたね



『アルフレッドさんコーヒー飲みます?』

「え?ああ、うんもらおうかな」

『あまいクッキーも一緒に持ってきますね』

「Thankyou」



そういえばなまえは花が好きだった
イギリスが来た時に持ってきたバラの花を眺めては
綺麗だとうっとり眺めていた

フランスにちょっと聞いてみようかな

変わらずに俺のそばにいてくれて
他愛もない話で笑ってくれる
幸せそうに

ねえなまえ、君の残りの人生を
残りの時間を俺に頂戴なんて言ったら
君はなんて言うだろうか



「なまえ」

『はい?アルフレッドさんどうしました?』

「今日この後時間あるかい?」

『え?ええ、特に用事はないですけど』

「一緒に食事でもどうかなって」

『はい、喜んで』



ふわりと笑って
急いで準備してる
愛らしい

今日は君の誕生日だろう?
前からサプライズで用意しておいたんだよ



『アルフレッドさんどこに行くんですか?』

「ん?いいからいいから
 俺に任せておけばいいんだぞ」

『はい』

「どうぞプリンセス」

『もう、ふふっ』



なまえを席に座らせて
注文をする

前からお店に頼んでおいたサプライズ
もしてもらうように伝えて
食事をする



『美味しい』

「そうだね」

『アルフレッドどうしたの?
 なんか落ち着かないね?』

「き、気のせいなんだぞ」

『そう?』



俺の長い人生の中でも
こんなに緊張することなんてなかったんだぞ

小さいケーキが出てきて
この中に指輪を入れてもらってるんだけど
なまえは気づくかな



『わあ、かわいい』

「どうぞたべていいんだぞ」

『え?いんですか?
 いただきます』



幸せそうに食べてる姿を見て
こっちも笑顔になる



『ん?なにこれ…
 指輪?』

「ねえなまえ」

『ん?』

「君のさ残りの人生、時間を
 俺にくれないかい?」

『へ?え?』

「君と共に、君が残り歩むであろう人生を一緒に過ごしたい」

『でも、私…
 アルフレッドさんより先に死んじゃうし…』

「うん、知ってる
 俺がちゃんと見届ける」

『少しの時間しか一緒にいられないし…』

「うん、俺からしたら少しの時間だけど
 それでも君と一緒にいたい」

『…私は年老いてお祖母ちゃんになってしまうんですよ?』

「君がいくら歳をとっても
 俺の中では一番可愛い人だよ」

『本当に本気で言ってるの?
 後悔しない?』

「今更だけど
 なまえこそ俺の子供は産めない
 ってなるけどそれはいいのかい?」

『貴方と一緒であれば…』



目に涙をためて俺を見つめてくる
なまえの手を握って
目をまっすぐ見つめて



「マ…Marry Me?」



緊張して躓いたけど
はっきり自分の口で伝えた

泣き崩れてしまったなまえの指に
そっと指輪をはめて

もう一度しっかりと
Will you marry me?と伝えた



『Yes. I’ll be happy to(はい、喜んで)』

「I was waiting for the word(その言葉を待っていたよ)」

『うれしい』

「俺もうれしい
 誓うよ、君が先に亡くなったとしても
 俺はまた君を探し出して愛すよ」

『ありがとう』



その後一緒になって
少しの間だったけど
なまえと過ごした日々は幸せだった

また君を探し出して
同じことを言うから待っていて





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