部誌5 | ナノ




「雪が降りゃ犬は野をかけてー」
「…猫は炬燵で丸くなるー?」

温かい部屋の中、お茶を飲んでテストの勉強をしていたら何時の間にか雪が降っていた。
突然歌い出したなまえに暫くフリーズしたが、何となく浮かんだ歌の続きを歌ってみた。
通じたことが余程嬉しかったのだろう。
にっこりと俺に笑いかけてきた。

「さすが孝支。」
「いやいやいや、幾らなんでも適当すぎるわ。びっくりしすぎて固まったわ。」
「雪が降ってたらこの歌だよな。」
「歌えてないから。」

思い出そうとふんふん適当に歌い続けるなまえの姿にため息が漏れる。
聞いてるこっちが忘れてしまいそうだ。

「ウチで言う犬だと、翔陽、飛雄、忠、仁花ちゃん、夕、龍、大地かな。」
「なら猫は他のメンバーか。」
「蛍や力とかモロ猫っぽいからな。」
「旭は犬じゃね?ハイジとかにでるでっかい犬みたいな。老犬っぽい。」
「心はチワワだけどなー。」
「チワワ!」

思いの一言に吹き出してしまう。
部員がそれぞれ犬耳やら猫耳やらをつけて鳴いている姿が頭の中に浮かぶ。
その中で旭だけがぷるぷると震えてる姿に笑いが何時までも収まらない。

「あー、おかし。孝支はそうだな。うーん、犬かな。柴犬っぽい。」
「そう?自分の事は分かんないなぁ。なまえは猫だね。縁側でお婆ちゃんと一緒に日向ぼっこしてるタイプ。」
「あー、かも。」

話ばかりで一向に進まない勉強を切り上げる。
あーだこーだぐだぐだ内容の無いことばかりだけどそれが楽しいのは今だけだろうか。

ピロピーピロピー♪
「お、夕からだ。…雪合戦しましょう!だって。」
「噂をすればか。」
「旭さんも誘ったんで!だって。」
「震えてそー…チワワみたいに。」
「ぶはっ!ちょ、それは卑怯だわ!」

メールを読んで困ったように笑うなまえに先程の話が思い出される。
なまえもチワワ姿の旭を思い出したのだろう。
派手に吹き出して笑うなまえに釣られ、俺も笑いが止まらない。

「あー、笑った。行くか。」
「行くべー。」

ひとしきり笑い終わって、外に行く準備をする。
何時の間にか雪は降り止んでいたけど、薄っすら積もっている。
きっとどんなに早く向かってもあいつらは遅いってなじるだろう。
ならゆっくり雪を踏みしめて感触を楽しもうではないか。

「旭チワワ」
「ぶはっ!」

とりあえず、旭の顔を見て吹き出さないように落ち着いてから行こう。




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