部誌2 | ナノ


もう一度、君に、溺れるような恋をする



意識が朦朧としてきた
なまえの手を握りながら
意識を手放しそうになるのを耐える

不安そうな顔をしているお前に
最後の言葉を伝えるから






「これから先さ、俺の方が先に逝くと思う
 でも、生まれ変わったら君を見つける
 あんたとまた、一緒に居たいから」

『…なんですかそれ…』

「え?プロポーズ的な意味なんだけど」

『いやいや、ドヤ顔で言われても
 って眠たいんでしょ?さっさと寝ろ慶次』

「ってーもう少し
 優しくしてくれてもいいんじゃないかい?」





叩かれたおでこをさすりながら
そう訴えかけてみても
なまえは呆れたように笑って






『慶次それ誰にでも言ってるでしょ』

「え?言ってないって
 近いようなことは言ってるかもしれないけど」

『言ってるんじゃん!』

「挨拶みたいなもんだってば」





そう笑えば
しょうがないかって顔をして
溜息をつきながら俺の髪を撫でた




「なあ」

『なに?』

「さっきの話だけどさ
 あの通りになったらなまえはどうするわけ?」

『んー慶次が本当に来てくれるまで待ってるかな』

「俺は約束破らないっての知ってるだろ?」

『そうだね、慶次約束は必ず守るもんね』





はにかみながらそう笑ってるなまえの顔を見ながら
本格的にまどろみに身をゆだねた

今思えば、あの時ちゃんと言っておけばよかったって思ってる
後悔したって仕方ないのに





「ねえ、なまえ
 待っててくれるんじゃなかったの?」





棺に横たわるなまえに問いかけても
答えてくれるはずも無く

あの、呆れた顔も
あの、はにかんだ顔も
もう見れないなんて





「じゃあさ
 俺がそっちに逝くまで待っててくれる?」






死化粧を施した頬を撫でながら、独り呟く

そっちに逝った時も
もし生まれ変わっても
なまえを見つけて、また恋をする

来世があるなら
来世では、なまえと共に歩んでいきたい

今度はちゃんと
なまえに伝えたいから




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