部誌3 | ナノ


もしもの話をしよう



「もしも何々がほにゃららだったら〜。」
「いえー!どんどんぱふー!」
「「「……」」」

2組の扉を勢いよく開けた兵助と勘右衛門と思ったら無理矢理連れてきたのか、3組のなまえをぽいっと俺達に方に投げ寄こした。
こいつらは頭がいいが、たまに訳が分からないことする。
床に転がった際に腰を打ったのか呻くなまえに雷蔵が手を差し伸ばした。

「大丈夫?」
「ってぇ―…ふざけんなよ勘右衛門!腰打ったじゃねぇか!」
「受け身とらないなまえが悪い。」
「はぁ?!」
「それよりさっきの話。もしも俺がと、と、豆腐が好きじゃなかったら!」
「「「ない、絶対ない。」」」
「ですよねー。」

空いてる椅子を勝手に引っ張り出してきた兵助が搾り出すようにいった台詞にみんなが一斉につっこむ。
兵助が豆腐好きじゃないとか…もしもでもないわ。
と言うかつっこまれて照れてんじゃねーよ、頬染めんな。

「つーか何だよ急に。」
「暇だったからやった、後悔も反省もしてない。」
「なまえはどうして連れてきたの?」
「帰りそうだったから。」
「みんなでぐだぐだしようぜ!」
「やだよゲームしてぇのに。」
「何々、何のゲーム?!」

勘右衛門に荷物を物質として奪われてるなまえはしぶしぶと椅子に座った。
ゲームの一言に目を輝かせた八左ヱ門が身を乗り出してなまえと話始めた。

「駄目だよ八左。明日古典の小テストあるんだから。」
「うっ…!」
「この前散々だったしな。」
「赤とって泣きつくなよ?」
「わ、分かってる…つーかなまえに言われたくねーし!」
「ざっけんな!赤常連は英語だけだし!」
「なまえの英語悲惨すぎて笑えるのだぁ。」
「そもそも赤とるとか意味分かんない。ねー、兵助。」
「ねー。」

小首を傾げてぶりっ子ポーズの二人に内心イラっとする。
顔がいいだけに違和感無さ過ぎる。
そんな二人に苦笑してる雷蔵に対して、ぐぅの音もでない八左となまえに私は呆れて溜息をついた。
1組の二人ほどじゃないが確かにちゃんと勉強すれば赤点なんかとらない訳で。
頑張って覚えろ、の一点でしかない。

「…あれ、何の話だっけ?」
「えー、確か「なーそれより早く帰ろうぜ。小腹空いた。」」
「…私も賛成、善哉食べたい。」
「豆腐。」
「はいはい後でね。俺はわらび餅かなぁ。」
「がっつりとハンバーガー!」
「コンビニでおでん。」
「僕はうーん、あんみつもいいけど確かに肉まんとかもいいなぁ…あー、でも、うーん」

自分たちでいい始めたのに忘れた兵助に笑って答えようとした雷蔵の言葉を遮るなまえ。
ちらりと私の方に目配せして合図を送るなまえの意図を理解して席をたつ。
思い出したらまた面倒な話が始まるからさっさと移動したいんだろう。
さっき言ってたみたいにゲームしたいんだろうし。
私につられてみんな帰り支度を始める。

「なー、帰り家に寄っていい?」
「明日小テストあんだろ?頑張れよ。」
「えー!」
「私行きたい。」
「おう、いいぜ。」
「ずっりーよ三郎!」
「俺も俺もー!つーかお菓子買ってなまえの家に行けばよくね?八左抜きで。」
「さすが勘ちゃん。八左以外で行こうよ。」
「ちょ、イジメカッコワルイ!」
「うーんうーん、いっそアイスでもいいかなぁ」
「雷蔵行くぞ。」

まとまりのないグダグダ感のまま教室を去る。
「もしも」なんてそんな話題なくったってこのメンバーでいれば何時だってぐだぐだしてる。
…まぁクラスが違ってなかなか全員で集まれなくなったから、気を利かせたんだろう。
特に3組に行ってしまったなまえは一人になりやすいし、実際こうして放課後をすごすのは久しぶりな気もする。
だからまぁ、良かった。
4人の背中を眺めながら、何となく感傷的にそんなことを想いつつ、私たちはゆっくりとなまえの家に向かった。






「じゃ、じゃあさ。兵助教えてくれよ!どうせ全員いっぺんにできないんだしさ!な!?」
「必死すぎて最早哀れなのだぁ。」
「兵助えぇぇぇぇぇ!」
「うるせえ八左。」




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