部誌12 | ナノ


君の世界の終わりに



やぁ、おはよう。
気分はどうだい?
……そう。なら良かった。
突然で申し訳ないけど、今日は君にいくつか知らせなきゃいけないことがあるんだ。
まずは一つ目。
うん。知っての通り、この前の検査の結果が出ました。じゃじゃーん。
…うん。予測通りの結果だよね。
まぁ、みんなもそのつもりでいたけど、いざこういう風に結果が出ると動揺するものだよね。
他の人に何言われても気にしないようにね。悪いことじゃないんだし。
……これは名誉なことだよ。多分ね。
もちろん非人道的なこともあるよ。それは断言する。他でもない僕自身がね。
でも、こういう結果が出てしまった以上、仕方がないんだよね。
……うん。君が誰であっても、どうしようもないんだ。
で、二つ目。
と言ってもさっきの続きみたいなものなんだけど。
うん。そう。予想通りだけど、招聘通知です。
それも、明日までに来るようにっていう、ね。
……あぁ、もちろん。他の人は通知の当日に来るようになっている。
でも君は……あぁ、うん。僕の権力の傘に入るのは嫌だろうけどね。
僕自身は“お願い”してないよ。それはもちろん。
君が嫌がることはしたくないもの。ね?
そう。で、三つ目。
今日一日は君の自由にして構わないよ。
この後はいつ自由に好きなことができるかわからないからね。
うん。だからこそ、君が行きたい場所に連れて行ってあげる。君のやりたいことをさせてあげる。
ねぇ、だから教えて。
君の自由な世界が、時間が、日常が終わってしまう今日、君は一体何がしたいの?何を見たいの?
僕は僕の持てる全てを持ってそれを叶えてあげる。



熱に浮かされているような、言葉が滑っていくのを聞いていた。
ようやくその言葉が途切れ、ゆっくりと倒れていくその姿から目を逸らさないまま、ゆっくりと息を吐き出す。
どうして、ともう声にならない言葉を紡ぐように唇が動く。

「どうせ最後に見るなら、てめぇがくたばる姿だ。ただ、俺の自由は今日で終わりなんかじゃない」

いつもは余裕で満ち溢れているその瞳に戸惑いが浮かぶのが、とても滑稽でそれでいてとても憎らしく、けれどそれから目をそらすこともなくじっと見つめる。

「安心しろ。あんたの世界が終わるまで、ここに居てやる」



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