君の体温
真っ白な、消毒臭さが残る一つの病室に彼女はいた。
心臓の鼓動を刻むモニターと、体内に栄養を送る点滴とチューブを付けられ、彼女はゆっくりと呼吸をしながら眠っている。
ベットに近づいてそっと顔に触れた。
彼女の体温はとても冷たかった。
与えるように撫でていると、ふと彼女は目を覚ました。
ツナヨシ
かすれた声で名前を呼ばれ、ふふ、と笑った。
乾いた喉で喋るのは少し、辛いらしい。
頬に触れる感触に、彼女は目を閉じる。
先程よりも、少し温かい頬を撫でつづける。
鉄砲玉のように飛び出して、大怪我して返ってきたのはほんの3日前。
命に問題はないといったが、それでも心配は尽きないのだ。
「早くさ、安心させてくれないかな」
あといくつこうすればいいのだろう。
すうすうと眠りに付いた彼女に届かないのは知っているけど、またいつも通りに呟いた。
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