部誌1 | ナノ


ホットチョコレート



銀ちゃんの作るお菓子は
そこらで買うお菓子よりもおいしい

特に美味しいのが
寒い日に飲むホット・チョコレート






「ホットチョコなんて誰でもつくれるってーの」

『作れるけど!
 銀ちゃんの作るのがおいしいんだって』

「ちょっとちょっとなまえちゃーん?
 何その嬉しい言葉銀さん泣いちゃう」

『泣くのは構わないけど
 先に作ってから泣いてよね』

「へいへい」






台所に立つ銀ちゃんの後ろ姿が好きで
ちょっかい出したくても出せなくて
でも今日は…






『銀ちゃん!』

「おっと、んー?どうしたー」

『ちょっと抱き着きたくなっただけ』

「ほらほら、火傷するから座ってなさいー」






チョコを刻んでミルクを温めて
カップにチョコを入れてミルクで溶かして…

刻んであるチョコを一つまみして
銀ちゃんの口に運ぶ、口内に指まで入れて





「んっ?」

『ねえ、甘い?』

「んーー」

『んっ…』






銀ちゃんの舌が私の指に絡みついて
なんだか急に恥ずかしくなってきた

口内から指を引き抜こうとしても
手首を掴まれて引き抜けない





「なに誘ってんの?」

『ち、ちがっ』

「はいはいわかった分かった
 ご無沙汰だもんなー」

『だから違うって言って…』

「ほら甘いの好きだろ?」






今度は銀ちゃんの指が私の口内に入ってきて
甘いチョコの味が口に広がる

視界に入ったボウルには
刻んだチョコの半分が湯銭で溶かされていて
私も再度チョコを指で掬い取り
銀ちゃんの口内に指を入れる







「んー…」






チュクっと脳内に響く水音
その水音がやけに厭らしくて逆に興奮する

互いの指を引きぬいて
そのまま体を抱きしめられて口づけを交わす
甘く長い口づけ






『ん…銀ちゃ…っ』

「なに?」

『…ミルク…吹き零れてる』

「ああ…もう後でいいよな?」






後ろ手でコンロの火を消して
銀ちゃんの手が私の背中に回って

私も離れまいと
背の高い銀ちゃんの腰に腕を回す






『ねえ…知ってる…?』

「ん?なにが?」

『ホットチョコレートって…』

「……へえ…だからか…
 なら止まらなくなるのも仕方ないよな」






甘い甘い貴方との口づけは
貴女が作るホットチョコレートのように甘くて

私の頭を麻痺させる
何も考えられなくなる


チョコレートの香りに包まれて
愛し合うのもたまには悪くない




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