――成る程。
端から私は彼だけを求めていたのかもしれない、そして彼も私だけを。
私の好きな色も音も全て、彼が持ち得ていたものではないか。
彼が与えてくれたではないか。
しかし今は独りきりなのだ、私も彼も。
だって死んだのは、紛れも無い、
――このワタシだったのだから。
視界が再び暗転する。
もう先刻までのようには落ち着いていられなかった。
彼によって揺れ動かされた心が生きたいと願う。
生きたい、生きたい、と強く願う。
総悟の隣で、総悟に触れていたい、だから……。
私も総悟とお揃いの涙を流す。
絶望と悲しみと、ほんの少しの愛おしさ。
何故泣いているのか、その理由はもう痛い程明確に分かりきっていて。
「瑠衣…、何もしてやれなくてすいやせん」
暗闇の中でも、何も見えなくとも、総悟の声だけは確かに耳に届いた。
「だけど……刀、だけは、ここに置いてくから」
「カタナ……?」
「それじゃあ、また。」
――刀、そうだ。
それは私の存在意義を伝えられる、唯一の手段で。
総悟があんたの刀を振るう姿が好きだと、私を認めてくれた初めてのもの。
総悟の声が次第に遠くなって行く。
必死に行かないでと手を伸ばした、刹那、触れたのは闇の中でキラりと閃いた何か。
……私の、希望。
「ありがとう」
私は託された刀を握り締めると、彼の声を追い掛けた。
私の声をみつけて
←back