助けての声も届かない





苦しいと叫ぶ喉は、声も出ぬ程に潰れていて。

床に転がり落ちた携帯電話は、充電切れで真っ暗なディスプレイ。

闇に包まれた密閉空間は、震え上がる程の寒さで。

唯一助けてくれる筈の存在は――、




「大丈夫ですかィ、姫?」


やっと、助けに来てくれたのね。


「今日は一段と冷えまさァ。風邪ひかねーよう、毛布でも被っといて下せェ」


ならお願い、早く此処から連れ出して。


「……どうしやした?ほら、いつもみたいにオネダリしな?」




──嗚呼もう、いないのだと。


愛情と云う名の狂気に駆られた貴方は、私を此処に閉じ込めて。

偽りの笑顔に身を包み、自らの優しさを殺してしまった。

だけど、だけど、……そんな貴方を私は今でも愛しているの。



「分か、ってるよ、総悟」

「……なら早くしなせェ」



冷たい地べたに力無く座り込んだ私は、躾られた通りに股を大きく開いて。

既にバイブによってぐちょぐちょにされた秘処を彼の目に晒した。

ジャラ、と鉄枷が揺れる音がする。

そして私は指先で総悟の膨らみに触れると、ぎゅっと掌で掴んで──。



「総悟のがっ欲しい、よ……!私のココに突き立てて、私の身体を総悟でいっぱいにして…ッ!」

「上出来ですぜ、姫?いま楽にしてやりまさァ」

「う、ん、んん…っ」



愛液と汗とで出来た小さな水溜まりに顔を近付け、総悟は玩具を引き抜いた。

其の解放感に安堵した瞬間、またいつものように彼の突起が私を奥まで攻め立てる。


ぐち、っぐちゃ、ぐちゅ……


冷たい瞳、だけど熱を帯びた総悟の身体。

卑猥な水音を響かせて秘処からじわりじわりと私を蝕んで、犯して、私の純粋な愛情をも掠め取って行く。



「あ、つい……ッ」

「あァ、さっきまでの寒さが嘘みてーですねィ。姫の中は気持ちいいでさァ…」

「総、悟の為なら、……」


──嬉しいよ?



だって此れは行き過ぎてしまった"愛"なのだから。

大好きな貴方からありったけの愛を貰えて、真正面から抱いて貰える。


ただ、ただ、叶うのならば──、



パンッ!…何かが弾けた音がした。

私の一日は今日もここで終わりを告げる。

毎日毎日同じ事の繰り返し、目覚めた瞬間に笑いかけてくれる大好きな貴方の横顔。

(……私は本当に、幸せなのでしょうか?)



「大好きだよ、総悟っ!」

「おはよう、姫。今日も朝からラブコールですかィ?」

「ふふっ、嬉しい?」



当たり前だと言う風に、総悟は私の汗ばんだ額にキスをした。


愛する彼と二人きりの幸せな朝、でもそう、願わくば……昔の二人に戻れたら──。

心から笑って頬を染め合って、嫉妬して泣き合って、優しい総悟とその総悟が好きなワタシ。

しかし願いは今日もまた、彼の異常なる愛情に掻き消されてしまうのでしょう。


行ってくる、言葉だけを残し仕事に出掛けた彼の背で、誰にも知れず私はそっと泣き崩れた。

誰も居ない、孤独なる空間。






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