見守るだけじゃ、





最近の俺は、どうも可笑しいみたいだ。

煙草の吸う本数は増えたし、マヨネーズの摂取量も増えた。それに加え、山崎を怒鳴る回数も増えた気がする。



「隊長、待って下さいよー!」

「姫が遅ェから悪いんでさァ」

「けちー!いつもはサボリなくせに…」

「あぁ?何か言いやしたかねィ?」



振り返れば総悟と姫の声が聞こえて。心なしか、彼女が笑っていたように感じた。

イライラ、イライラ…──。

不快感が募り、俺は煙草を灰皿に押し付けると立ち上がった。ぐしゃ、と潰れたその先が赤く灯され、じきに灰となる。



「おい総悟、」

「何でィ、土方さん?俺ァ今忙しいんでさァ」

「ちょ、隊長!?すみません、副長…!」


それじゃ、巡回行って来ます!



ぺこりと小さくお辞儀をして、姫は俺を無視した総悟を追った。無表情で何考えてんだか分からないあいつの肩に、その細く白い指で触れ、その可愛い声で笑う。

ひらりと翻った総悟の隊服。少しだけ見え隠れしたあいつの顔も、姫を見て笑顔を溢していた。



「くっそ……!」



好きだなんて言えない。言える訳が無い。でも触れて欲しく無い、その手で。笑い掛けて欲しく無い、その瞳で。



「はっ。姫を一番隊に入れるんじゃ、なかったぜ…」



俺らしくも無い、と項垂れた顔を上げ、前を見据える。が、視界に映るのは姫と総悟の姿だけ。

くそ…!俺はもう一度だけそう吐き捨てて、唇を噛み締めた。柱に拳を叩きつけて、

好きなんだ、とまるで自分に言い聞かせるかのように。





(半歩前を行くあいつと)
(一歩後ろを行く俺じゃ)

((君との距離は一目瞭然で))






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