隠し続ける恋心

叶わない、恋──。

そう言われると無性に手に入れたくなってしまうのは、俺のエゴイズムなのだろうか。

分かっているさ、俺だって辛い。お前だって辛い。結局…どちらとも辛いだけ、なのに。

「っ、銀、さん……？」

「…姫。」

「痛い、よ…離して、」

「…悪ィ、姫」

──もう我慢出来ねーんだ。

痛い、そう姫が声を漏らすのは、お前の手首に食い込んだこの爪か。お前をベッドに押し付けるこの腕力か。お前を傷付ける、この、俺の心か。

苦痛に歪む姫の表情を見てみぬふりをするかのように、銀時は彼女の唇に噛み付いた。覆い被さるようにして降ってくる、その深く濃厚な口付けに、姫は酸素を求める。

「息が、出来な…っ！苦し…やめっ…銀、さん……！」

「姫…耐えて、くれよな」

「ふぁっ…嫌、だ……んふぅ、嫌…！」

酸素を求めて喘ぐ口から微かに漏れるは、俺を拒む声。甘く優しく大好きだったお前の声に、俺は今、拒まれている──。

銀時が唇を離せば、二人を繋ぐ厭らしい銀の糸。はあはあ、と乱れた呼吸と苦しそうに咳き込む彼女。涙ぐむ姫の瞳に銀時は唇を噛み締めた。

「どう、して…？」

「どうもこうもねーよ。ただの遊び。土方の野郎にばっか格好つけさせる訳にもいかねーだろ？」

「嘘…ねぇ嘘でしょ？銀さん」

「嘘じゃねーよ、これは遊びだ。今は姫が俺の玩具なんだよ」

ポロリ──何かが彼女の頬を伝って、皺の寄ったシーツに滲んだ。初めて見た、姫の泣き顔。

胸が締め付けられた。しかしそれでも、これでいい、これでいいんだと言い聞かせて。自分の気持ちを伝えては、お前を困らせてしまうから。

銀時は姫の突起に口を這わせた。びくり、と跳ねた身体を両腕で押さえ付けて、硬直した胸の朱色を口内で転がす。

「ふ、ぁ……あ、あぁんっ」

「厭らしい声出すんじゃねーよ。何、誘ってんの？」

「違…っひゃ…！んん…」

愛撫に酔いしれた姫の身体を抱き起こして、銀時は彼女の下着を無理矢理脱がした。反抗する様子も無く、両腕をといてからは秘部を好きなように弄ぶ。

──助けて、土方。

お前がそう呟く度に、お前がシーツを濡らす度に、お前が厭らしく啼く度に、お前が身体を律動させる度に。俺の心は悲鳴を上げる。痛い、痛い、と叫び喚く。嗚呼、何時から俺はこんなにも姫を好きになっていたんだろう。

「姫…姫……」

「………」

「大丈夫。明日にはちゃんと、土方の所に帰してやるから」

疲れと痛みに動かなくなった彼女を抱いて、銀時は悪い、と再び口付けた。

これで最後だ、約束する。

もう逢わねーよ、忘れてくれ。

──土方と、幸せに、な…。

愛し過ぎてしまったから、欲望と快楽に、溺れて。このまま連れ去ってしまえばいい。しかしそれでも、最後はお前の幸せを願わずにはいられなかった。

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