「スックアーロっ!」




パタパタと学校の長い廊下を走ってくる女は、俺の女、名前。…ゔぉおい、そんな短ぇスカートで走ってたら、中見えちまうぞぉ?



そんなオレの心配をよそに、オレの腕に絡みついてくる名前。ニコリといった効果音がつくような笑顔をオレに向ける。




「学校終わったから一緒に帰ろう!」


「…仕方ねぇなぁ」




やったぁ!と隣でぴょんぴょん跳ねる名前。こいつとは付き合ってまだ3ヶ月しか経ってねぇが、オレは名前と共にいれることに幸せを感じていた。



…だが、そんなオレにも名前に関することで悩みはある。付き合って3ヶ月。まだ手をつないだ止まりだった。つまり、キスはまだしたことねぇ。



別にしたくないわけじゃねぇぞぉ!ただ、名前の無邪気な笑顔を見ていると、大切にしてやりてぇって思って、なかなか出来ねぇ。…断じてヘタレじゃねぇ。




「ね、ね、ソフトクリームあるっ」

「…ん゙、食うかぁ?」

「一緒に食べよ!」




オレの深刻な悩みをよそに、買ってやったソフトクリームを見ると、子供みてぇに顔を輝かせた。…まぁ、実際子供なんだがなぁ。いつも座っているベンチでソフトクリームを食べる。



チロチロとソフトクリームを舐める名前の舌に思わず目がいってしまう。…あ゙ーくっそ。気を紛らわせるために、ソフトクリームを食べる。




「あ、スクアーロついてるよ」

「あ゙ぁ?」




ひょいっと名前の手が、オレの口の横に伸びてきて、唇の端を指の腹でぐいっと拭われた。そのまま、その指を名前は口に運ぶ。…って、ゔぉおい!




「チョコレートのもおいしいね」

「そ、そうかぁ?」




冷静さを装いながらも、内心は焦っている。…ったく、そんな仕草どこで覚えてきやがったんだぁ?いつも名前の方が一歩前に進んでいて、オレはどこか無性に切なくなった。




「ゔぉおい、名前」

「んー?」




名前に負けてばっかじゃいられねぇ。男としてのプライドもあるしなぁ。



オレの方を向いた名前の肩を掴み、ぐいっと自分の唇を押し付けた。ほんの一瞬だったが、ほのかに名前が食べていたソフトクリームのストロベリーの味がした。




「…名前?」

「うっ、ひっく」

「ゔぉ、」




顔を離して名前の顔を見ると、でけぇ瞳いっぱいに涙の膜を張らして今にも泣きそうだった。




「泣くほど嫌だったかぁ…?」




それはそれで、オレとしてはかなり傷つく。だが、ブンブンと顔を横に振る名前に、嫌だったわけじゃねぇのか…っと思って安心した。




「あ、たし…もしかし、たら…ぐす。スクアーロに、嫌われてるのかと、おもっ、て」


「…はぁ?」


「だって、なかなかちゅ、チュウしてくれないから、もし、かしたら遊びかと思って」




…どうやら、オレのくだらねぇ悩みが名前を傷つけていたみたいだ。まぁ、どっちにしろ、この涙はオレのせいなわけで…。溢れ出てくる涙を指の腹で拭ってやった。




「…すまねぇ」

「ス、クアーロ?」

「もう一回、していいかぁ?」




涙が止まった瞳をパチリと動かし、少し間があってから顔を赤くしてゆっくり首を縦に動かした。二回目のキスも、やっぱりストロベリーの味がした。






晴れ晴れとした、ある日の放課後の話。







ストロベリー味に酔いしれて
(君の味が甘く口内を犯すんだ)


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リクエスト作品のつもりで書いたが、内容に合ってなかったため短編へ使い回し←

by 真 白




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