「わー、すんごい人いっぱいだね」
「はやく拝んで帰ろうぜ?」
「あ、うん!」
1月1日、元旦という神社が1番
混む日。あたしとベルは二人で日
本の神社を訪れていた。人が込み
合っていて、歩きづらい…。みん
なこんな真夜中によく来るよね。
あたしもベルを誘った身だけど。
「ぎょえっ!!」
「名前?!」
人混みの中に埋もれていって、思
わず変な声を出してしまった。
「なに変な声だしてんだっつの」
「だ、だって」
見上げるとニヒルに笑うベルの顔
。人の不幸を笑って楽しむのはベ
ルくらいだよ。なんか、人の多さ
に酔ってきたし、早く帰りたい。
「え?」
「ん。」
ベルがいきなり、自分の手をさし
だしてきた。いっつもあたしに悪
戯ばっかするベルが、急に優しく
するもんだから、不覚にもときめ
いてしまった。
「名前がドジではぐれたら面倒だ
しな、王子優しくね?」
「よ、よけいなお世話よ…」
「素直じゃねーな、早くいくぜ」
あたしの手をひいて歩き出すベル
。あたしの顔、ものすごい真っ赤
だと思う。寒さのせいでっていう
のもあるけど、これは絶対にベル
のせいだ。
「ベル…」
「ん?なに?」
「ありが…とう…」
「ししっ、名前意味わかんね」
顔を真っ赤にして言ったあたしに
どうやら王子様はご機嫌らしい。
あたしとベルの前に参拝していた
人たちが終わり、あたしたちの番
になった。
パンパンッ
二人で手を合わせて今年の願いを
神様に願った。
ベルと初詣してからの帰り道。
「なぁ名前ー」
「なあにー?」
ベルに買ってもらった綿菓子を口
にしようとしていたときだった。
「お前、神社で何祈ったわけ?」
「え?!言わなきゃだめ?」
「当たり前じゃね。」
有無を言わせない笑みを浮かべる
ベル。言えるわけないじゃん、だ
ってあたしの願いはー…
「あ!」
「んー?なに?」
「ベルが先に教えてくれたら言っ
てあげてもいいよ」
「あ?…しょうがねーな、オレが
神社で祈ったことはー…」
気になってベルを見ているとベル
の顔が近づいてきた。そしてベル
が、あたしの耳に唇を擦り付けて
「名前といつまでも一緒に
いられすよーに」
私の顔は一気に温度上昇して、
沸騰しそうになった。なんであ
たしは毎回、こんなにもベルに
ときめいてしまうんだろう。
「ししっ、名前顔真っ赤じゃね」
「う、うるさい…!ベルが耳元で
言うからでしょ!!ふぅ…ん」
つないでいた手を力強くひっぱ
られいつの間にか、ベルの顔が
目の前にあって、あたしの唇は
ベルの唇に長い間預けられた。
「名前、これからもよろしくな」
「べ、ベルのばか…ぁ」
ベルと一緒なら、きっと今年も
最高の一年になりそうだね。
(名前は何を祈ったわけ?)
(べ、ベルと同じこと…)
(名前、かっわいー♪)
終わらない恋になれ
紫織処女作
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