※夫婦設定








「ねぇ、どういうことなの?」
「だからただの知り合いっだっての」

「……。」




苛立ちが私の穏やかさを越えてしまったようで、私は表情をしかめながら彼に尋ねた。

だって意味わからない、説明してくれもしないし…



「何で女の人と…、誰なの…?」

「お前が思っているような存在じゃねぇって、これだけは信じろよ」

「……。」


ベルがそう言うにしても情けないが、今の自分に信じるということは出来ないらしい。

たまに浮気されてもばれないようにしてくれれば別に気にしない、という人が存在するみたいだけれど、私には全くというほどその考えが理解できない。

だって自分と会ってない時間を使って、他の女といるのを楽しんでいると考えたらその女に憎しみや悲しみなどたくさんの想いを抱いてしまう。


所謂、嫉妬。




嫉妬は醜い。
だからなるべくしないように努力している。けれど嫉妬してしまうときがある。

努力しているのにどうしてだろう…


すごい今、辛い










「もうだめなのかな…私とベルって。」

「はっ?それ、どういう意味?」



少し怒ったように声のトーンをさげて聞いてきたためすこし吃驚してしまったがここでひきさがったら私の負けだ。そう自分の考えを心中で柱にし、『離婚って意味だよ。』こう応えれば吃驚した半面、呆れたようでどこかへ行ってしまった。


ベルがでていって私だけになったこの空間には沈黙が漂った。
離れて欲しくないのは自分が一番願っていることのはずなのに…。

結局自分から切り離すことになってしまって私自身の言動に苛立ちと後悔が込み上げてきた。

椅子をひいて座り、うなだれていれば先程この部屋から去ったベルが戻ってきた。
私はなるべく目を合わせないようにベルを視界にいれないよう努力した。






が、それは呆気なく阻止されてしまった。


「ん」

「何よ、これ…」

「あければわかるから」



私はベルから差し出された小さなピンクの箱を恐る恐る手にとり中を見れば吃驚するより他なかった。




「ベル、これ……。」




中には雪の結晶を象ったと思われる綺麗なピアスが入っていた。どういうことなのか尋ねれば、ベルはいつもの悪戯な表情を浮かべ、自分の髪で隠れていた耳をみせるかのように髪を耳にかけ、照れたように言った。




「今日、"いい夫婦の日"だろ?だからさ、『お揃い』っていうやつ」



「ベル…。 んっ…」






私は自分の考えを酷く憎んだ。ほんとに嫉妬は醜いものだ。

私はベルの名前を呼べば、ベルはそれを受け止めるかのように私の唇を塞いだ。


あの日、ベルはこれを買いに行っていたらしく、隣にいた人は少なからず私の知り合いだと言う。私は誰だろうと疑問に思ったがとりあえず誤解は解けた、はずだから信じることにした。

そして私はもうベルのことを疑わないことを誓った。






「俺は名前じゃないとだめだから」






あぁ、私はなんて幸せなんだろう……――。








「ごめんね、ベル…」







私たちは改めて愛を確かめ合うかのように、お互いの唇を重ね合わせた。




先程より、濃く、そして長く…――。







( 醜い身体を忘れてしまいたいの )




イイ夫婦の日(´ρ`*)
ベルと買いものに行っていた女の人は、名前様をよく知り名前様も信頼している部下ということで。これ、個人的においしい



紫織






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