桜が舞う坂道を登ったところにあるボンゴレ学園。少し古びたセピア色の門をくぐりぬけると、目の前に広がる伝統ある校舎。


あたしは今日、この学園で2年生になります。






xxx






〜♪。


少し前にはやった卒業ソングが響く。卒業式に先輩に告白したら、実は両思いでしたっていうありきたりなもの。




「ん…ー今、何時?8時50分…なんだまだ8時かぁ」




まだ8時なら問題ない。せっかくの春休みなのだから、二度寝しないともったいない…。今日は何して過ごそうかな…。フランとベルに会いに、学校行こうかな。


…学校?学校っていつから始まるんだっけ。…あれ?昨日フランと電話でそんな会話していたような。




「…今日って始業式?」


「ピンポーン。大正解ですよー」


「いえーい……え?」




1人しかいないはずの部屋から、あたしのではない声がする。むくりと身体を起こすと、部屋でフランがお茶をすすって、お煎餅を食べていた。




「…レディの部屋で何してんのよ」


「まだ寝ぼけてるんですかー?八時に正門前集合って言ったの誰でしたっけー?」


「…あたし?」


「ヒンポン、ピンポーン。これも大正解でーす」




そっか、入学式に参加しなきゃいけないから、8時には学校に行かなきゃいけないんだった。


……今、8時50分だよねっ!?寝起きでぽやぽやしていた頭が、一気に覚めた。




「完璧遅刻じゃん!」


「そうですねー」


「そうですねー。じゃない!!準備、準備しなくちゃ!」


「ぽり」


「煎餅ぽりぽり言わすなっ!」




部屋でくつろいでいるフランを横目に、あたしは急いで準備をする。


顔を洗って、着替えて、冷蔵庫から適当なものを取り出して、口の中に詰め込む。


本当はこの春休みに伸びた髪を結びたかったけど、時間がないから諦めよう。




「髪、だいぶ伸びましたねー」


「ふむふむ」


「食べながら喋んな。…結んであげましょーかー?」


「ほ、ほんと!?」




必死で朝食を食べるあたしの後ろに回って、髪を左右に分けて結ぶフラン。


この一年でフランは本当に優しくなったというか、あたしのこと分かってくれるようになったというか…うん。親友ってこういう関係を言うんだろうな。




「よっし、ごちそうさまっ!」


「こっちも出来ましたよー」


「ありがとう」




フランにしてもらった髪型を鏡で確認しながら、カバンを持って玄関を出る。


学校まで走っていっても、どうせもう間に合わないから歩いて行くことにした。




「そういえば、なんで朝家にいたの?」


「ベル先輩と待ってたんですけどー雨芽が遅くて、どっちが迎えに行くか勝負して負けましたー」


「…ごめん」


「もう慣れましたー」




一年生のときはフランとベルとよく一緒にいた。あと……スクアーロ先生。4人でよく一緒にいたなぁ。


今年はフランとベルとあたしの3人かな。新しい友達出来たらいいんだけどなー。




「クラス、どうなっているんだろう?」


「担任は変わるらしいですけど、クラスは持ち上がりですよー」


「おおう、じゃあまた、ハルや京子の天使の微笑みを拝めるのか」


「…変態」


「なんですとっ!?」




そんなこんなしているうちに、あっという間に学園に着いた。前に学園に来たのは、春休みにルッス先生にお花見に誘われたときだったかな。




「す、すみませーん!」


「ん?」




どこから可愛らしい声が聞こえてきて、後ろを振り返ってみると、茶髪のトゲトゲ頭で目がぐりんぐりん大きい男の子が、息を切らしながら坂道をかけのぼってきた。




「入学式ってもう終わりましたか!?」


「入学式…っていうことは一年生?」


「あ、はい。オレ、沢田綱吉っていいます」


「あたしは蓮野雨芽。よろしくー」


「よ、よろしく」




沢田綱吉くん、かぁ。なんか先輩っていう優越感がうずうず沸いてきて、くすぐったい。なにこれ、気持ちいい。




「…どうでもいいですけどー入学式終わりましたよー?」


「んなっ!?じゃあオレ、先に行くね!」




パタパタと走って行ってしまった綱吉くん。…というか、今、敬語抜けていなかった?ダメだよ!先輩のことはちゃんと敬わなくちゃ!


…あれ?あたし学年言ったけ?…うん、まぁオーラで分かるか。オーラで。




「ミーたちも行きますよー」


「あ、うん」




先を歩くフランの後ろを急いで追いかける。担任の先生誰だろうなー…。また山本先生がいいな。


いや、ディーノ先生でもあたし的には全然オッケー。レヴィ先生は…ないないない。一人もんもんと考えていたら、フランが教室の扉を開けていた。




「あ、待って」




急いでフランの横に行き、教室を覗く。最初に目に入ったのは、透き通って向こう側の景色が見えてしまうんじゃないかってくらい、綺麗な長い銀髪。







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11/07/01






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