「どーっちだっ!?」
「あ゙ぁ?」
「いいから、早く選んで!」
いきなり職員室に来たかと思えば、手をグーにして突き出す雨芽。どっちだ、って選べばいいのかぁ?
「…右」
「ぶっぶーっ!先生のドアホ」
「ゔぉおい!!!ドアホはてめぇのことだろ!」
「いでっ!」
ゲシッと、とりあえず雨芽のことを小突いておいた。まったく、ベルやフランといい、最近の奴らは敬意ってもんがねぇんじゃねぇかぁ?
「はいっ、改めて!どーっちだっ!」
「……まだやるのかぁ?」
「いいから、いいから」
早く、早くと拳をぶんぶん振り回して催促する雨芽。地味に危ねぇな。
「うがっ!」
ぶんぶん振り回しすぎて、ガツンと机に拳をぶつけやがった。…まぁ、やるとは思ってたがなぁ…ここまで期待通りになる奴って、なかなかいねぇだろぉ。
「どっ、どっちか選べ…このカス鮫」
「んな、拳震わせて言われてもなぁ……左」
「ぴんぽーんっ!正解した先生にはこれをあげよう!」
パッと手を開き出てきたのは飴玉。…こいつ、本当に高校生なのかぁ?明らかに幼稚園児がすることじゃねぇか。
「いらない?」
少ししょげた様子の雨芽。そんな顔されたらよぉ…ったく、しょうがねぇなぁ。
「ん゙」
雨芽から飴を受け取って、口にほおりこむ。隣では雨芽が当たり前のように山本武の椅子に座って、口の中で飴をころころ動かしていた。
「で、急にどうしたんだぁ?」
「おいしい飴があったから先生にもあげようと思って」
「ゔお゙ぉ…い」
とある日の、職員室での風景。
(聞いた?あの、ゔお゙ぉ…い。スクちゃんがご機嫌なときに言うのよ)
(ははっ!あいつら仲良いよな!)
(いいなーオレも混ざりてー)
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11/05/26
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