「スクアーロ先生ー」
「あ゙ぁ?どうした?」
「あたし先生がなんで教師になったか分かったかも」
いきなり目を輝かせて言う雨芽。
つーか今補習中ってこと忘れてんのかぁ?
「いきなりなんだぁ?…言ってみろ」
「いや、考えれば考えるほど先生は教師に向いてるよ」
「ゔぉおい、褒めても何にも出てこねぇぞ」
いきなり何言い出すかと思えば、オレが教師に向いてる、だぁ?
んなこと初めて言われたがなぁ。
「あたしも先生みたいな教師になりたい」
「雨芽が教師か…なれんのかぁ?」
「あったりめーよ!お菓子のためならなんでもするし」
「菓子…?」
なんでそこに菓子が関係してくる?
教師になったらもれなく菓子がついてくるとかってこいつの脳みそは考えてんじゃねーだろうな。
「だって家庭訪問するだけで各家庭からお菓子が貰えるんだよ」
「それってお前…」
「え?先生、そのために教師になったんじゃないの?」
「んなわけあるかぁ!なんでオレが菓子欲しさに教師にならなきゃならねぇんだ!!」
雨芽の話を真面目に聞いたオレが馬鹿だった。
…ったく、オレがいつから雨芽みたいに食いしん坊キャラになったんだぁ?
「だって先生の机、いつもお菓子でいっぱいじゃん」
「雨芽が菓子ねぇとやる気でねぇとかぬかすから、用意してやったんだろ!」
「え、あたしのためなの?」
お菓子がない補習なんて、眼鏡のないスクアーロ先生みたいに虚しいよ!とかって言ったのはどこのどいつだよ。
「お前以外誰がオレに菓子ねだったりするんだぁ?」
「ふーん、あたしのためか…へー」
「なんだぁ?急に大人しくなりやがって」
俯いて急に黙りやがった。顔を覗きこめばなぜかニヤニヤと笑っていた。
「うん、スクアーロ先生ってやっぱり教師に向いてるよ」
「……そうかぁ」
こういう生徒がいるから、教師って仕事は悪くねぇと思ってしまう。
--------------------------------
11/04/07
→