「恐らく、死んだこと自体がなかったことになるだろうな」
白蘭との戦いが終わった後、青のおしゃぶりのアルコバレーノが、白蘭によって引き起こされた出来事は全て抹消されると言った。
ミルフィオーレに殺された奴が死んだこと自体なかったことになるだと…?
じゃあ、ミルフィオーレに殺された名前も戻ってくるってことなのかぁ?
「名前も、かぁ?」
「ムッ、名前も戻ってくるさ」
マーモンの言葉にオレは嬉しさを隠しきれなかった。
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十年前の山本武と別れ、オレは急いでイタリアに戻った。
談話室の扉を勢いよく開けたが、名前はいない。代わりと言ってはあれだが、ルッスーリアが嬉しそうに会場を飾っていた。
「…名前はどこだぁ?」
「自分の部屋に言ってみたらどーお?」
にやにやと気持ち悪く笑うルッスーリアは放置し、オレは自分の部屋へ走った。
十年前の名前との約束は、もしかしたらこの戦いでは守れねぇと思っていた。だが、守れてよかった。
オレは乱れた息を整えて、ゆっくりと扉を開けた。
「お帰り、スクアーロ」
笑顔で迎える名前を、オレは思いっきり抱きしめた。
「もう絶対に離さねぇからな」
「もうスクアーロのことを置いてったりしないよ」
名前の存在を確かめるように包み込み、ゆっくりとオレは名前に口付けた。
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