あの奇跡の一週間から二年の月日が流れた。
もうすぐ、スクアーロが言っていた八年前になる。あたしはなるべく、暇なときは家の手伝いをするようにしていた。
あの日からスクアーロを忘れた日は一度もない。ずっとずっと、スクアーロに逢いたいと願っていた。
「ん?今日は武はいねーのか?」
「うん、なんか友達が会いにくるんだって」
「それなら仕方ねぇか…仕込みの方、しっかり頼んだぜ!」
「はーい」
お父さんが店の準備をしている間に、あたしは店に出すための料理の仕込をしていた。
うぅー…でもお父さんみたいにまだ味付け出来ないんだよね。魚がやっとさばけるようになった感じだし。
店の方が騒がしくなってきた…。お客さんかな?こんなに早く来るなんて珍しい。
「名前ー!ちょっとお茶持ってきてくれー」
「はぁーい」
うーんと熱いお湯をお茶葉に注いで、少し置いて湯飲みに注ぐ。
「何個いるのー?」
「武とお客さんの分だぞー!」
武とお客さん?ああ、武が帰ってきて友達も連れてきたんだ。武の友達ってツナ君や獄寺君と違うのかな?
「お待たせしましたー…へ、」
「う゛ぉおい!なににやにやしてんだぁ?山本武!!」
「悪ぃってー!なぁ、姉ちゃん」
あたしは涙で視界がぼやけて、盛大にぶっこけてお茶をスクアーロの頭にぶっかけた。
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スクアーロ、あたしがもしあの時に貴方に出逢っていなかったらどんな人生を歩んでいたんだろう。
きっと意味のない人生を歩んでいたんだと思う。スクアーロと出逢って恋をして、そしてこんなに幸せになれたんだよ。
「そろそろ時間だぞぉ、名前」
「…なんか昔のこと思い出していて」
「名前と最初に逢ったときには驚いたもんなぁ」
十年後のスクアーロが言ったとおり、あたしはスクアーロの髪に盛大にお茶をぶっけた。
それからまぁ、いろいろあってあたしは今日、スクアーロと結婚することになった。
「スクアーロ、本当にスクアーロと出逢えてよかった」
「オレもだぁ」
「これからもずっと一緒だよね?」
「オレがお前を手放すとでも思ったのかぁ」
ニヤリと余裕を持った笑みであたしを見るスクアーロ。そんなスクアーロがむかついてあたしは、思いっきり髪を引っ張った。
「何すんだぁ!?…ーう゛ぉっ!」
「へっへっへ〜隙あり!」
思いっきり髪をひっぱりスクアーロの顔を近づけて、あたしはキスをした。
「ったくよぉ、」
「んぎゃ!」
スクアーロはあたしを抱え持ち上げて、ゆっくりと顔を近づけてキスをした。
「とんだ花嫁だぜぇ」
「でもそのとんだ花嫁を嫁にする旦那様も同じもんでしょ?」
「そぉだなぁ」
クスクスと2人で笑って、あたしたちはもう1回キスをした。
「愛してる、スクアーロ」
「Ti amo 名前」
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