ボンっと白い煙が名前を包み、煙がはれたときにはもう名前はいなかった。
「…ー名前、」
名前を呼んでも、もう返事は返ってこない。だが、腕にはまだ名前の温もりが残っていた。
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「名前さん!」
「ねぇちゃん!無事だったか!?」
「ツナ君…?武も…?」
目を開けるとスクアーロはいなくて、心配そうにあたしを覗き込むツナ君と武がいた。
「あれ、あたし…」
「十年後はどうだったか?」
「リボーン!?…あたし一週間もー…」
「名前が消えてから一時間しか経ってねーがな」
「一時間!?」
十年後では一週間も過ごしたのに…。きっとこっちとあっちじゃ時間の流れも違うんだ。
「ツナ君、ありがとう」
「えっ!?俺、お礼を言われることなんて…」
「十年後にあたしを飛ばしてくれたじゃない」
「あ、あれは手紙に書いてあってー…」
「手紙?」
しまったという顔をしてツナ君は口を塞いだ。武は苦笑いしてるけど、リボーンはなぜかにやにやしている。
ツナ君の話によると、どうやら十年後の武があたしを十年後に送るように書いた手紙を、ランボ君に渡したらしい。
十年後の武は、あたしを失ってしまったスクアーロを見ていられなくて、せめてもの救いになればということで、あたしに来てもらいたかったらしい。
「まさか一週間も過ごしていたなんて思わなかったよ…」
「でもツナ君のおかげでスクアーロに逢えたから」
「うぅ、でも、名前さんが十年後はヴァリアーにいるなんて驚いたよ」
「ツナ君みんなを知ってるの!?」
「いや、その…ちょっといろいろあって」
ツナ君がヴァリアーのことを知ってる!?もしかしてスクアーロに逢えるのは近いのかもしれない!
「早く、逢いたいなぁ」
十年後のスクアーロを思い出して、あたしはこれから逢えるであろう十年前のスクアーロに胸をはずませた。
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