「…スクアーロ」

「………………。」


部屋に戻ってから、ずっとあたしに背中を向けているスクアーロ。


「スクアーロ、大丈夫?」

「あ゛ぁ」


話しかけても返ってくるのは、短い返事だけ。…あたしのこと怒ってるの?黙ってボスに聞こうとしたから怒った?


「スクアーロ!」


どうしようもない気持ちになって、あたしはスクアーロの背中に抱きついた。…スクアーロの肩が微かにだけど震えていた。


「スクアー…んっ!」


スクアーロに無理矢理押し倒されて、キスをされた。いつもの優しいキスじゃなくて、荒々しいキス。


スクアーロどうしたの!?嫌、やめて…怖いよ。

声に出したくても、口内をスクアーロの舌で荒らされて苦しい。酸素を求めようとしても、スクアーロの唇は離れない。


ビリビリッと着ていた服が、スクアーロの左手に引き裂かれた。


「何するの!?…ーんゃ!」


スクアーロの舌が首筋を這い、鎖骨に強く吸い付いた。


怖い、怖い。普段は優しいスクアーロ…。そのスクアーロは今はどこにもいない。いつのまにかあたしは泣いていた。



「…ふっく……スクアー、ロ…スク」


ピタリとスクアーロの動きが止まった。それと同時に強く、強く抱き締められた。


「…すまねぇ」

「スクアーロー…うぅ」


「名前、名前、本当にすまねぇ」


さっきの荒々しさとは正反対の優しいキスが、涙で濡れた瞼に落ちてきて、ゆっくりと涙を拭ってくれた。


「…スクアーロ」


あたしを抱き起こして自分の膝に座らせ、あたしはスクアーロに抱っこされている形になった。


「…名前を守れなかったオレに腹が立って、当たっちまった」

「…大丈夫だよ、」


「本当はお前に話したくなかったんだぁ。ずっと隠し通したまま、笑顔で過去に帰ってほしかった」

「…あたし、死ぬって分かってても絶対にスクアーロに逢いに行くよ」


「名前?」

「もしかしたら、未来を変えられるかもしれないもん。スクアーロとずっと一緒にいれる未来に」



真っ直ぐとスクアーロを見つめて、ゆっくりと唇をくっつけた。


過去に戻ったあたしが、スクアーロと出逢うことでまた同じ未来を歩むかもしれない。でも、スクアーロがいない未来なんてあたしには想像出来ない。


死んだっていい。少しでもスクアーロの隣に居られるなら、全然かまわない。


「…名前、愛してる」

「あたしもスクアーロのこと愛してる」




お互い見つめ合って、自然と唇が重なった。それからルッスがくるまであたしたちは、ずっとキスを繰り返していた。










第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -