「ごまかしてもあれなので…十年後のあたしってもうこの世にはいないんですよね?」

「…なんでそう思った?」


ピクリとザンザスさんの眉が動いて、今まで閉じていた目を開けた。


「十年後についたとき、お墓の前でスクアーロと出逢いました。そのとき、スクアーロは隊服じゃないのに剣を持っていて…それで」


「カスが死のうとしてたからか?」

「…スクアーロがあたしがいない世界なんて生きる意味がないって言ったんです。だからもしかしてと思って」


「カス鮫が…自分で口止めしておきながら言ってるじゃねぇか」

「じゃあ、」

「待て、その話はカスから聞いた方が早い。どうせそこで聞いているんだろ?」


「え!?」



ガチャッとザンザスさんの部屋の扉が開いて、すごく悲しい顔をしたスクアーロが入ってきた。


「どうしてー…」

「てめぇがバラしたようなもんだ。てめぇが説明しやがれ」


「名前ー…すまねぇ。聞くつもりはなかったんだが…」

「…教えて?今までにあったことを」


あたしが聞くと、ぽつりぽつりとスクアーロは今まであったことを話し出した。



十年後のあたしは幹部をしていて、あるファミリーの潜入調査の任務に出ていたらしい。

そのファミリーの名はミルフィオーレファミリー。最近勢力をつけてきたボンゴレの敵対マフィアだったらしい。

そのファミリーのボスにあたしは気づかれてしまい、…殺されたそうだ。


「そう、だったんだ」

「十年前のお前には関係ないとオレが判断をし、周りには口止めといたんだぁ」

「結果はこれだがな、」


ずっと黙っていたザンザスさんが、いきなり席を立ちスクアーロに向かってゆっくりと歩いてきた。


「カス鮫の身勝手な行動が招いたことだ」

「ぐはっ!?」


いきなり、ザンザスさんはひざでスクアーロの腹に蹴りを入れ、休む暇もなくスクアーロの顔を殴った。


「やめて!ザンザスさん!!」

「てめぇのせいで名前があそこまで泣いている。分かってんのか?」


休むことなどまったくなく、スクアーロを蹴っては殴るザンザスさん。スクアーロも抵抗をすればいいのに、まったく抵抗をしようとしない。


「ダメぇえええええ!!!」


そんなスクアーロが見ていられなくなって、あたしは思わずザンザスさんとスクアーロの間に飛び込んだ。


「……戻れ」

「あ゛ぁ」


ザンザスさんの動きが止まったかと思うと、スクアーロはあたしを抱えてザンザスさんの部屋から出てしまった。



そのまま無言であたしたちは部屋に向かった。








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